第135回
世界の文化はみな「成金」が作った
どこの国でも、その国の経済が発展して、
世界中から尊敬されるようになると、
その国の文化も見直される。
日本人もお金持ちになったおかげで、お茶とか、生け花とか、
歌舞伎や相撲まで広く人気を集めるようになった。
茶の湯にしても、わざわざ小さな茶室をつくって
お金持ちの貧乏ごっこみたいなことをやっているが、
秀吉のような人に引き立てられて千利休が有名になったのだから、
あの時代の人たちの成金趣味だったのだろう。
文化はいつだって成金がスポンサーになって成り立つものである。
だから、文化は成金のつくったものだといえる。
江戸時代の浄瑠璃や長唄にしても、
町人の成金によって生き残ってきたのだから、
成金をバカにする気風がある反面、
成金の役割が正当に評価されて然るべきだろう。
そういう意味では、 戦後日本にも成金文化がある。
その代表として私は、第一に日本料理、第二にカラオケ、
第三に旗を立てて世界旅行の三つをあげる。
ずいぶん前に、私はカラオケが日本で発明されたのを見て、
いまにカラオケが世界を風摩するだろうと書いたことがあるが、
いまや世界中どこへ行ってもカラオケのないところは
なくなってしまった。
カラオケがどうして誕生したかについては、
ちょっと面白い話がある。
これを一番先に考えついたのは、
世界中にカーステレオを売っているクラリオンであった。
そのクラリオンが、世界中に派遣している営業員たちを
日本に集め、慰労も兼ねて定期的に会議をやっている。
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