第139回
商売や投資を研究するための海外旅行も面白い
新しい変化は日本国内だけで起こっているわけではない。
先進国とか発展途上国とかいろいろと区別があるように、
国によって発展段階に違いがあるので、
日本国内で起こっていることが
そのまま外国でも起こっているわけではない。
スーパーでも、チェーンのレストランとか、
セントラル・キッチンでも、
アメリカで先に発達したものを
日本人が見学に行ってそれをうまく取り入れたのが、
日本のスーパー・チェーンやチェーン・レストランになった。
いまでも何か日本で企業化できるものはないかと
絶えずアメリカに勉強に行っている日本人は多いが、
日本もかなりアメリカに追いついたし、
これだけ通信が発達するとすぐに情報が伝わるので、
二、三十年前のような大きな拾い物はなくなってしまった。
むしろ、日本の後を追って工業化の道を、
中国をはじめ東南アジアの国々が驀進している。
それらの国々の方により多くのチャンスがころがっている。
現地の人々にとっては、経済成長は生まれて初めて
経験することであり、
変化が急すぎて不安一杯だし、これから先どうなるのか、
見当もつかずに戸惑っているのが現状である。
同じ現象を日本人が見ると、その昔、
自分たちが経験したことだから、
その先どう変わってどういうことが起こるか、
大体のことがわかってしまう。
たとえば、昭和三十年頃にどんな商売がハヤったか、
また昭和四十年頃にどんな仕事をやった人がお金持ちになったか、
自分たちの目で見ているから、
そういうチャンスをつかみたいと思ったら、
そういう時代を歩んでいる国に行って、
それに合った商売をすればよいのである。
どちらにしても、勉強をしたかったら、
一つ所にとじこもっていてはいけない。
アカデミックな研究をする人なら、
象牙の塔の中で万巻の書に埋もれて
立派な成果をあげることができるかも知れないが、
事業をやる人は自分の足で稼がなければならない。
そのためには旅をするのが一番手っ取り早い。
私は何十年間も全国各地で講演をしてきたので、
行かなかった県はないが、
それでもまだ行ったことのない市町村はいくらも残っている。
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