第145回
自分の性にあった仕事を探すのが人生最後のしあわせ
私は成熟社会にはあまり興味を持っていない。
休みばかり多くて、
人々が娯楽にうつつを抜かしているのを見ると、
だんだん退屈になってくる。
私のような貧乏性は、
一生懸命働いて少しでも生活を楽にしたいという雰囲気でないと
心が落ち着かない。
そういうところはアジア中にたくさんあるが、
一年間下見をしてまわった末に
引越し先を上海に決めた。
上海でやる新しい仕事は人材の開発である。
まず日本語の教室から始めて、
次にソフトの人材を日本と中国で交流する仕事をやる。
そのあとなるべく早い時期に、
大学で勉強したことは実社会に出てから
ほとんど役に立たないと痛感している中国の若者たちに、
実際に役に立つ知識を教えるビジネス・スクールをつくる。
できれば同じ時期に、
日本で定年退職した技術者たちに
ボランティアの精神で
中国の工場を現場指導をしてもらうルートづくりをする。
あれこれ考えると、やることはまだいくらでもありそうである。
私は日本の技術や文化を吸収したい人たちのために
台湾に日本語学校をつくって十八年にもなるが、
うちの学校で日本語を習った若者たちも
いつの間にか十万人を超えてしまった。
そのノウハウを上海に持ち込むだけだから、
そんなにむずかしいことではない。
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