伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第22回
大会の結果は

このサッカー大会で、ドイツ人の多くは、
母国だけでなく、ブラジルチームの応援にも本当に熱心でした。
グリーンとカナリア・イエローの
あのユニフォームを着て闊歩する人が多かったのです。

もちろん、この時、ブラジルからの応援団も大規模でした。
ミュンヘン市内の広場では、各地から到着した応援団が
サンバのリズムで気勢を上げていました。
「ブラージルッ!ブラージルッ!ブラージルッ!」と。

前大会での決勝戦の興奮を再び蘇らせたいと
双方、強く願っていたことでしょう。
ですから、ブラジルチームが先に会場から去ったとき、
信じられないという、驚きが広がりました。

そして、ドイツ決勝進出ならず、と決まったときの瞬間は、
もう、何とも…言葉で表すことができません。
あまりの落胆ぶりに、明日から、皆、一体どうするのかと
心配になるほどでした。
けれども、それは杞憂でした。

冷静な、感情を露わにしすぎない日常に戻っていたのです。
まだ、大会は続くというのに、
窓に掲げられたドイツ国旗は翌朝までに
ほとんど取り外されていました。

フランスとイタリアの決勝戦となり、
その結果は皆様ご存知のとおりです。

そして何より大事な結果は、ドイツの中にあります。
ドイツ統一後、この大会をきっかけにして、
恐らく初めて、旧東西どちらの出身であっても、
どの都市でのゲームであっても、
「ドイツがんばれ!」と皆、口々に一致した声援を
心から送ったのではないでしょうか。

少なくとも、ドイツに外国人として住む人々の多くは、
この様子を見て
「この大会は本当に素晴らしかった」という
印象を強くしています。


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2006年12月25日(月)

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