伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第24回
来る年の実りを得るために

休暇ばかりが多くて、
のんびり、ゆっくりモードのドイツです。
このペースに乗れずに、相手を急かすだけでは、
全く取り合ってもらえず、何ひとつ進まないことが
少しずつ理解できるようになりました。

まるで、従わざるを得ないような格好で
私がこのゆっくりモードに慣れてきた頃、
ようやく気が付いたことが1つあります。

それは、その年の1年の実りを確実に得るために、
「今から半年前から準備をし、半年後に実りを得る」
少なくとも、1年スパンの計画性の波に乗って進んでいる、
ということです。
しかも、その1年というのは西暦の始まりというより、
アジアの年始め感覚よりも、半年ほど早めのスタートです。

具体的には、穀物の実り、欧州の麦作りとアジアの米作りの
種まきから収穫までの時の流れを比べると、
その年の始まりと実りの時期の感覚の違いを
理解しやすいことでしょう。

例えば、フランクフルト近郊の農家では、
遅い年でも9月末いっぱいまでには刈り取られた麦畑を、
少し休めたかと思えば、すぐに耕して
10月の末には、来年のための穀物の種を蒔き終えています。
収穫からあまりにすぐの種蒔きなので、
小麦・菜種・大麦と同じ畑に、
3つの穀物を毎年種類を変えて輪作し、
地力を維持しています。

小麦ならば、11月には、10センチ弱ほどの若苗となり、
12月から4月までは、積雪に「麦踏み」されています。
4月以降には伸び育ち、7月末には収穫が始まります。
収穫と前後するように、夏の休暇が始まります。

アジアの米作りでは、その年、初夏の雨量を考慮しつつ、
籾から早苗の育て、青田で盛夏を迎え、
台風の害を避けるよう祈りながら、
秋の収穫を得て、正月の休暇を迎えます。
その年蒔いた種からその年の実りを得るまでの時間感覚が
若干、ドイツと違います。

業務においても、ドイツの感覚では、
2007年の前半、夏の休暇までに得る実りの
目処を付けるために、2006年の遅くとも秋には、
種を蒔き終えられています。
そして、07年後半には、その年の仕上げをしつつ、
2008年への種蒔きも完全に終えられるでしょう。

今年も早、あと数日を残すばかりとなりました。
皆様、どうか素晴しい新年をお迎えください。


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2006年12月29日(金)

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