伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第29回
観光通りが変わりました

少なくとも欧州旅行の買い物で
「中古のブランド品を買って帰ろう」という
発想をしていた日本人観光客は
ほとんど居なかったと思うのです。
免税であることを活かして、
「まず、新品を必ず買う」のが、
日本人観光客の常識だったことでしょう。

ところが、中国からの観光客が大勢で
土産物を買い求めるようになると、
どんなお店もそのニーズに応える品物を
より多く置くようになります。

定価よりも2、3割安くなる、
リサイクル品、中古ブランド品、
中古宝飾品や時計を扱うお店が繁盛する、
というニッチがあったことに、今頃になって
私もようやく気が付きました。
しかも、そこでも更に免税手続きをする、
という看板を上げています。

フランクフルトの中心部に、
ベルリナーシュトラーセ、という
観光大通りがあります。
そこに面した表通りに
中古品の土産物を扱うお店が
軒を並べるようになりました。
市中でのショッピングをしたり、
レーマー広場など歴史名所を訪ねたりする間に、
大型観光バスが停まって
観光中のお客を待機する場所です。

人気中古品はフローマルクトという
いわゆる、ドイツ版蚤の市も変えました。
ゾーリンゲン、スイスアーミーなど
欧州ブランドの小型携帯ナイフの「新品」を、
初めての欧州旅行で買われた経験を持つ方、
きっと少なくないと思います。

この小型携帯ナイフの中古品を
これまでフローマルクトで
専門に扱うドイツ人の業者が大勢、
テントを広げていました。
もちろん、地元のドイツ人に売るために。
ところが、ここ2年あまりで、彼らが
すっかり姿を消してしまいました。

つまり、フローマルクトに出店する前に、
すっかり売り切れてしまって、今や品不足です。
ドイツでも中国からの波が
押し寄せるがゆえの新しい商売の形が
もう始まっているのだ、と実感しています。


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2007年1月10日(水)

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