伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第33回
免許と車を手に入れる

ドイツと日本との運転免許証は、互換性があり、
日本で取得していれば、ドイツでの試験を受け直さずに
ドイツの運転免許証が発行されます。
これは、ドイツが日本の運転免許証の発行のしくみを
参考にしたというよりも、日本がドイツのしくみを
大きく土台に据えている故だろう、と思うのです。

実際には、右ハンドルと左ハンドルという違いがある限り、
道路を走る車の物理的な進行方向も、
左右逆転するので、それに付随して変わる規則があり、
全く交通規則が2カ国で同じ、
というわけではないのですが。
ともかく、書き換えだけで済むのは
大変ありがたい話です。

アメリカなどで免許を取得した人は、
このような書き換えでは済まず、再度、
交通規則を勉強し、筆記試験を受け直して、
ドイツでの運転免許を新たに取得する必要があります。

幸い日本での運転の未経験を問われず、
日本で免許を取得していた私の場合は
ドイツの運転免許証をすんなり取得することができました。

そして、アウトバーンを疾走する高級車に感動した
あの日から、半年経たないうちに、私のアパートの前に
1台の古いドイツ車が停められました。
あの高級スポーツカーとは、まるで天と地ほどの差がある
15年ものの古いドイツ車を、
ドイツを去る友人から、安価で譲ってもらったのです。

疾走する美しいあの高級車からは、程遠い車でしたが、
馬力があり、これで運転できるようになると思えば大満足。
古いものをゆっくり手入れするのは好きですが、
その後、この車は古いわりに手入れをするには限界があり、
手入れすればするほど、
逆に非常に費用が嵩むことが分り、1年経たないうちに、
やむをえず手放すことになりました。
そして、その後はずっと今日まで、
再び公共交通機関を使う生活に舞い戻りました。

さて、車を手にれた後、1ヶ月間ほどは、
停めた車を眺めていただけでした。
免許も手にした。車も持った。
さあ、あとは、路上に出るだけ。

さすがにブランクが長すぎて、
一人で運転するには勇気が要ります。
諦めて自動車学校の補習授業を予約しました。
ようやく私にも車社会の一端から、
ドイツの社会の仕組みを理解できるようになったのは、
その後のことです。


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2007年1月19日(金)

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