伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第34回
ドイツの自動車学校で

「自動車学校」と看板を掲げたオフィスは
ドイツのどこの街角にもよく見かけられます。
けれども、日本の自動車学校のような
スロープや横断歩道、信号機や道路標識を設置した
囲まれた練習場所はありません。
オフィスでは受講の予約をしたり、
会計をしたりするだけです。

教習場所は、即、一般の道路です。
「自動車学校」と大きく明示された教習車に
教官と2人で乗り込んで、すぐに路上を走ります。
普通車だけでなく大型車両の場合も同様です。
早朝、車が込み合う時間帯にもかかわらず
「教習中」と書いた大型バスが
路上に登場するのは日常のことです。
甘やかされる暇は一寸もなく、
即、運転席に座って、実践につぐ実践あるのみ。

このスパルタ式とも言える教習方法には、
さすがに躊躇したのですが、ここはドイツ。
ハンドルが右にあろうと、左にあろうと、
言語が分ろうと分るまいと、
ここまできたからには、
清水の舞台から飛び降りるつもりで、
トライしないわけにはいきません。

私が参加した自動車学校では、
教習を予約したその日その時間に、
教官が教習車を運転して家の前までやって来ました。
教官が運転席から降りて、
互いに名乗って挨拶するやいなや、
「はい、座って。はい、その道を真っ直ぐ運転して。」

「失礼、私は車の動かし方が分りません。
どうやったら良いのか最初から教えてください。」
と私の場合は、そこからのスタート。

「なるほど」と教官も手馴れたもので、さっさと
エンジンの掛け方とブレーキの位置を指導すると、
「はい、この道ずっと真っ直ぐ!」。
全く初めて教習を受ける人もこの調子で、
誰一人の例外なく全員、
一般の路上に恐る恐る出ます。

晴れて運転免許を手にした後は、ドイツの路上は、
初心者にもベテラン運転手にも互いにフェアで、
初心者に配慮せよ、と促す
日本の初心者マークに相当するものは無いのです。

けれども、「自動車学校」と表示された教習車で
運転練習中のときだけ運転不慣れな者として見なされます。
この練習中の教習車の運転を冷やかしたり、
練習進路を邪魔したりした車については、
同乗しているその教官の目撃と通報によって、
警察からの罰金通達があっという間に来る仕組みです。


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2007年1月22日(月)

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