伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第35回
晴れて車社会の一員に

自動車学校の教官には、1回2時間、
結局、合計3回、6時間あまりの教習をリクエストして、
何とかペーパードライバーを卒業しました。
私の場合は、既に免許を取得しているので、
卒業のタイミングは自分で決めるのです。

この教習を算数などの授業に例えると、
日本では、解き方を教わってから、練習し、
練習が終ってからテスト問題、でした。

ところがドイツでは、
最初にテスト問題を突きつけらた格好から始まります。
解き方が分らないと教官に質問し、
なんとか自力で処理します。
必要ならば後に自分で復習練習、というパターン。
まるで逆さです。
年齢も経験も、ついでながら国籍も全く関係無し。
けれども、短期間で実地に慣れ、対処できるようになります。

1回目の教習の終わりに、どさっと
交通標識やルールを書いた書類の束を渡され、
「次の授業までに、よく読んでおくように」と言われました。
日本の交通道路標識とほとんど似ているように見えます。

けれども、実際に教習を受けながら、
特に日本人は注意しておきなさいと強く教えられたのは、
1)「何がなんでも歩行者優先」というスタイルが
  根底にあるのを理解すること。
2)「車が走る権利の度合い」が進行方向や道路事情によって、
  細かに決められ標識表示されている。これに従うこと、
  の2つです。

特に一番目については、住宅街や街の中心部にある
「制限速度30キロゾーン」を
場所を変えて何度も何度も練習しながら、
この制限速度を甘く見てはいけない、
わずか数キロの速度違反で
罰金や免許停止の厳しい制裁を受けるだけでなく、
このゾーンでの事故は絶対に許されないと、教えられます。

「だって、図体のでかい車と、生身の人間、
どっちが物理的に強いか、簡単に分るじゃない。
物理的に強いものが譲るのが当たり前だろう?」と教官。

住宅街の小道もあれば、急な傾斜の山道もあり、
人や犬が道を渡れば、脇から自動車も自転車もやって来る、
当然ながら標識は次から次へと変わる、
自分でも分らないうちに指示に従って進むうちに
アウトバーンに出る…。

今、その当時を思い出すと、
本当に為になる、楽しい教習でしたが、
手に汗を握りながらの運転を思い出し、
冷や汗がどっと流れてきます。


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2007年1月24日(水)

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