伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第37回
ドイツを走りに来る人々

ドイツの国としては、車産業は国家事業に等しく、
「世界の高級乗用車はドイツ車が絶対に座を譲らない」、
という強い意思をアピールしています。
ドイツ車といえば、
BMW・アウディ・ ポルシェ・ベンツ・VW…
と名を挙げれば、
私よりも皆様の方が、ずっと上手くその車体や特徴を
思い浮かべていただけることでしょう。

当然ながら公共車では、国産車利用に余念がありません。
ゴミ収集車、大型バス、消防車もベンツが幅を利かせています。
そして、建設関係の大型作業車の一部や一般小型普及車には、
外国産(他欧州車・アジア車)に市場を開放しています。

ともかく、日頃から、車への関心が薄くても、
おや綺麗だなと鑑賞できる美しい高級車が
街角に駐車していたり、
走ったりしているのを毎日見られるのは、
他所にはあまり多くない、実にドイツらしい光景です。

郊外に出れば、特に初夏の気候の良いシーズンには、
隣国のナンバープレートを掲げた、
綺麗な外国産の高級スポーツカーも、
多くアウトバーンを走りに来ています。
オープンカーにして、皆、涼しげです。
運転席の男性あるいは女性の
目深に被ったキャップやサングラスの様子から、
決して若者だけの乗り物ではない、
むしろ、シニアのための乗り物だと分ります。

欧州の一般人にとっては、
あまり車そのものに強い関心や憧れは無いようですが、
自ら、気に入りの車を運転したい、とは思うようです。

でも、アジア人向けのサービスでは、
自ら車を運転するよりも、お抱え運転手付きの
車ライフの方に憧れが集まりやすいらしく、
「高級自動車を通訳とお抱え運転手付きで手配します」
という方が、
「高級スポーツカーをレンタルします」
という広告よりも多く目に止まります。

美しい風景・走りやすい良い道路・美しい車の
3点セットが揃えば、より多くの人が、西に東に
ユーラシア大陸を走りまわる日が来るのかもしれません。


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2007年1月29日(月)

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