伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第41回
ビールは16歳になってから

「ドイツでの飲酒や喫煙の法的許可年齢は16歳以上」
と書いたら、びっくり仰天させてしまうでしょうか?
さすがに、タバコの害を配慮して、
ごく最近、喫煙は、18歳以上に引き上げよう
とする動きが出てきたところです。

少なくとも現段階では、日本の高校生年齢で
タバコやビールを楽しんだとしても、
日本では違法でも、ドイツでは合法です。
だからと言って、ドイツの青少年の皆が皆、
毎日のべつもなく、ぐでんぐでんになって
大騒ぎしているわけではありません。
もっとも、16歳という法的な線引きがあると、
背伸びしようとがんばる子どもたちも出てくるので
大人の出番も決して無くなりはしませんが。

けれど、ドイツの子どもたちの日常生活の様子を
落ち着いて見られるようになってくると、
この16歳という年齢設定に納得できるようになりました。
「こういうことはアナタの判断に任せる。
任せたからには、アナタの責任で行動しなさい。」
こういうこと…の数多ある項目のうちの一つが、
たまたま飲酒や喫煙となっているだけ、です。
そういう社会の中の習慣的な責任年齢が、
ドイツでは、およそ15歳前後に見えます。
立派な体躯が、一応できがあがるのもこの年齢。
親を呼び出す前に、本人がとった行動と責任とを確認するのが、
本人の意志を尊重する上でも重要だし当然、という扱いです。

少なくとも、ドイツの親御さんは、この年齢になるまでに
体躯に相応した判断ができるように子を育てるようです。
15歳を間近にして、ある日突然、
「アナタはもうオトナなんだから…」と言っても
親として既に手遅れですし、言われる子どもにも迷惑な話です。
そういう目で社会の様子を見直してみると、
生まれたばかりの赤ん坊の時から育児の視点が違います。
愛情一杯「子どもを大人に育てる」のがドイツの子育てで、
愛情一杯「子どもを大事に育てる」という日本の子育てと
同じ子育てでもスタート時点から子育ての概念が
180度違う、と思えるものがあります。


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2007年2月7日(水)

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