伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第45回
MOGUSA(灸)とハーブは

重ねて私は、
その治療師の資格を持つドイツ人女性に聞いたのです。
ドイツで快く受け入れられているのはどんな治療?
「東洋や西洋のハーブを中心とした治療。
ときによって、ツボを刺激するためにMOGUSA(灸)を少々。
大人では、日常ストレスの癒し、腰痛、肩こりの緩和など、
子どもでは、アレルギー症状の緩和に対処するニーズ。
病院で処方される強い薬を長く使いたくない、あるいは、
専門病院に行く前の予備対策として利用するわね。」

お灸も、熱くて怖がる人が多いのでは?
「バード・ピッキング(小鳥がちょっと突っつく程度ですぐ外す)
だから大丈夫。」

そもそも、いつ頃からドイツに中医学が入っているの?
「歴史は古くて、決して、最近ではないのよ。
16世紀前後、絹や陶磁器、香料などアジア商品が
欧州に入りだした頃から、
すでに中国の医学は欧州で興味を持たれていて、
組織的な学問とする傾向もその当時から存るし、
現代、東洋ハーブをどちらかというと
オランダやイギリスの方で入手しやすいのも、
東洋貿易に熱心だった、その頃の名残。」

やがて、私にもドイツでの漢方薬の扱われ方が分ってきました。
アジア人が漢方薬として期待する東洋の生薬は、
それを専門に取り扱う薬局で、
生薬がブレンドされずに単品ずつ、
ハーブティ原料として販売されています。
医師の処方に沿って、あるいは個人責任で
各生薬をブレンドし、ハーブティーとして飲用するスタイル。
医師が出した処方箋があれば、医療保険扱い対象になりますが
それは難しいでしょう。
たいがい、自分で全額個人負担。
漢方薬を処方してくれる医師は、
ドイツの中ではそう簡単にはみつかりません。

やっとみつけた薬局で、漢方薬の本を繰りながら、
おっかなびっくり生薬を注文してみれば、
大棗が幾つ、葛根が何グラム、という注文スタイル。
大棗は実のままゴロン、葛根は根っこの中に
でんぷんがこんなにあるんですね、という姿。
乾姜何グラム、と注文したときには、
最寄のスーパーで生姜を買ってきて
自分で刻んで使ってくれ、と言われてさらにびっくり。
こんな異国の果てで、チャングムしてます。


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2007年2月16日(金)

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