伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第46回
ファッシング

ユーラシア大陸の東側では、
旧正月のお祝いムードに溢れている頃でしょう。
こちら、おなじ大陸の西側では、
先週からファッシング(謝肉祭)という
キリスト教のお祭りの週が始まりました。
ファッシングと言えば、仮装!
日頃の生真面目なドイツ人顔をしばし止めにして、
恐らく年中で一番大人も子どもパッと心弾けて楽しむ行事です。

このお祭りには、宗教的な意味あいがあります。
キリストの復活を祝う復活祭期間での悔い改めや
断食に入るその40日前までのうちに
皆でドンちゃん騒ぎするための行事、と聞いています。
やはり、ここは素直に人間の気持ちとして
厳しい冬が終わりを告げ、春が来たことを
心から喜ぶ行事でもあると思います。

さて、このファッシングの間中、フランクフルトや
近隣の市町村では、大人も子どもも思いっきり仮装して
町の中を歩きまわります。
皆のこの仮装への気合の入れようは尋常ではありません。
百貨店は、年明けのバーゲンセールが終るとすぐに
ファッシング用衣装やメイク用品、小道具売り場を設けます。
試着室も備えられたその売り場では、
とっかえひっかえ衣装を試す大人の群れ。
親の衣装が決まらず
待ちぼうけを食らっている子ども姿が見えるほどです。

厳しい寒さなので、
リオのカーニバル衣装…とまでは至りませんが、
魔女・カウボーイ・骸骨・ピエロ・忍者などの
衣装を身に着けるのは、少なくともまだまだ控え目な演出。

朝の公共の乗り物には、通勤中の新聞を広げる熊や
コーヒーを飲む猫、アタッシュケースを持つ魔女がいます。
登校中の小さなニンフが手をつないで歩いているのは
本当に可愛らしいものですが、
黒いマントを翻しながら自転車をこいでやって来る
小さなドラキュラには、心底ギョッとさせられます。

地元の企業や子どもスポーツクラブなどが
こぞってトラックや乗用車を飾り立てて山車にして、
通りを仮装パレードする日があります。
ドイツ各地によって異なるのですが、
この辺りでは「へラォ!」と大声で叫ぶと山車の上から、
キャンディーやチョコレートがたっぷり放り投げられます。
子どもたちが大勢、袋を手にして集まる楽しい行事です。


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2007年2月19日(月)

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