伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第50回
消費税19%の世界…

この1月から日本の消費税に相当する、ドイツの付加価値税が
16%から19%に一気に3%引き上げられました。
消費税5%の日本から見ると、「まぁ、19%なんて!」と
まるで、ゾンビが棲むかのように恐ろしげな
世界に見えるかもしれません。

庶民感覚としては、「やっぱり少し上がったかな…」と
税の上昇は感じつつも、意外にも予想ほど
度肝を抜かれない程度にこの数字を噛み締めています。
というのも、この19%という税率が適用されているのは
消費税は消費税でも、いわゆる衣類や日用雑貨品、
家電や車、よろずの手数料などに課す「一般税率」の方。

誰もがこれ無くては生きられない食料品には、
軽減税率7%が適用されたままで、変化なしです。
この軽減税率7%という数字は
1983年から適用された値と聞いています。
つまり、その後もう片方の一般税率がいくら上げられようと、
庶民の生活に直結する軽減税率の方だけは、
ここ20年間余りも同じ値が適用されている、ということです。

「でも、食料品が7%だなんて!」と
日本から見るとトンでもない数字にまだ見えるでしょう?
しかし、フランクフルトの街中の店でさえ、今も、
リンゴ1キロ7%の税込みで、2ユーロ(約310円)、
牛肉1キロ7%の税込みで、10ユーロ(約1550円)
という世界です。小売単価が日本とは大きく違うため、
税率は高くとも、財布から出ていく食費の額は低いのです。

また、一般税率19%が適用された1月は、
毎年恒例のバーゲンシーズン。
日頃から、倹約節約に熱心なドイツ人にとっては、
計画的な買い物をこの時期に。
衣料や台所用品、電気器具など一般品が
物によっては50%近くバッサリ値引在庫処分されます。
まだ高値な暮れには、じっと待つのみ。
少々税率が上がろうとも、大抵の人は
駆け込むような気分になれなかったことでしょう。

加えて、税率の引き上げとともに、平日と土曜日の
店舗の営業時間が夜8時から夜10時まで延長許可され、
大半の小売店がこれを実行に移しています。
購買意欲の刺激となりますかどうか、
ドイツ政府のお手並み拝見、です。


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2007年2月28日(水)

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