伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第52回
中国ブームがやってきた

「中国がブームです。そして、中国語も」
このドイツ語の活字を、ついに見てしまったな…
という面持ちで、私は路上で1枚のパンフレットを
受け取りました。
この2月に入ったばかりのことです。

ドイツでは、各市町村ごとに、
フォルクス・ホッホ・シューレと呼ばれる、
一般人向けの教養学校が開設されています。
受け取ったのは、フランクフルトにあるこの種の学校の
受講生募集のパンフレットです。

いわば、趣味や教養を深め、地域交流の意味合いもある
中身の濃い文化講座。用意されているプログラムは多彩です。
ドイツ語やスペイン語などの語学学習、
油絵や写真撮影、楽器演奏の芸術関係、
ヨガ、ダンスなどの体育関係まで。
有料ですが、良心的な価格での運営で、
国籍や年齢にも関わらず一般人に広く開放されています。
確かにこれまでも、フランクフルトのこの講座には、
中国語のレッスンがありました。
私が知っている限り、これまでは、毎週日曜日だけの開講でした。

これだけ、企業からの赴任経験を通じて、
アジア生活を楽しめる欧州人が少しずつ
増えてくるようになると、
アジアの文化を知っていることが
少しばかりお洒落、という雰囲気が生まれます。
赴任を終えてドイツに帰国してからも、
アジアについて、なんらかの教養を続けて重ねておきたい、
という人が増えそうでいて、それがよく見えませんでした。
特に中国語の語学講座が
もう少し盛んになりそうに思えるのに、
そうではない期間がとても長かったのです。

でも、今年のプログラムは、
これまでのアプローチと少し違います。
もう、中国語会話だけではありません。
中国文化に親しもうという、単発ながらも、
書道の講座、フィルムを見ながらの歴史文化学習や
交流ツアーも積極的にPRされています。
なお、中国の広州は、フランクフルトの姉妹都市。
ツアーもそれを意識して組まれています。
静かにアジアブームの形が変わってきています。


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2007年3月5日(月)

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