伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第53回
徳国(ドイツ)ブランド

ふと思い立って4年ぶりに上海に立ち寄ったのは
およそ1年ほど前のことです。
上海空港から、市内に向かうバスに乗った、
小1時間ばかりの間に
車窓からぼんやり街を見ているだけで
やはりこの国にドイツ・ブランドの売り込みは浸透しているな、
と今更のように感慨深く思いました。

道に溢れる車、
髭剃り・電動歯ブラシ、家電や調理器具…
そういうメーカーの街頭広告や、
乗っている空港バスの車内広告にさえも
「徳国(ドイツ)」という文字があり、
いやがおうにも目に入ります。

「上海に建つ高級マンションの中で、
ドイツ・ブランドの衛生陶器が採用されている」
という話を聞いたときには、
あのメーカーももう中国に進出していたのだ、と驚きました。
どちらかというと、あまり派手ではない、昔ながらの商品を
連綿と地道にドイツ国内でじっくり販売しているかのような、
日頃の手堅いイメージからは、想像しにくかったのです。

ともかく、あのメーカーも、このメーカーも、と
ドイツで見慣れた企業名が連なるところをみると、
一度、こうと決めたら、企業という企業が
あっという間にスクラムを組んで
ブルドーザーのように突き進み、
ガードが必要となれば、一気に皆で一枚岩になる、
ドイツらしい強気の企業スタイルが
中国でも展開されているのでしょう。

百貨店に足を向けて、家電や調理器具を見に行けば、
今度は、どれもこれも、
すっかりアジア仕様になっているのに驚きました。
ひとまわりも、ふたまわりも軽量小型になって
私にも、運びやすく使いやすそうです。
本来、重厚長大を良しとするのがドイツ製品。
掃除機一つ、テレビ一つにも、ドイツ本国では
ドンと大きくて重いものが丈夫に見えてしまう上、
リッチ感がある、と喜ばれています。

こういう軽量小型タイプが作れるなら、
ドイツでも販売してよ、と言いたくなりましたが、
大抵はアジア専用製品、当面はかなわぬことだろうと
まさに1年前にはそう思ったのです。
けれど、今年に入ってドイツでお披露目された、
家電のニューモデルを見てびっくり。
すっかり小型の「アジア・スタイル」で登場です。


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2007年3月7日(水)

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