伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第57回
アンビエンテ2007の小さな主役、東南アジア

今年のフランクフルト、アンビエンテ会場では、
「フォーラム0(ゼロ)」というメッセ内の特別会場を設け、
ベトナム、フィリピン、インドネシアからの
東南アジアだけを中心に据えた
アジア家具の披露の場としていました。

主な出展品は、籐製のベッドやソファなどの大型家具、
庭園用の大型窯業製品です。
これらの国は、香港・タイ・トルコのように
国を挙げてパビリオン宣言こそしていませんでしたが、
ブース出展者の顔は皆、生き生きとしていて
希望に満ちた笑顔がみえます。

前年までこの場所は、「カラット」と呼ばれる分野の
貴石やそれを使ったアクセサリー業者のための
出展ゾーンでした。
あえて、今年はこの分野を他のホール番号に譲り、
「0(ゼロ)」という番号をこれらの国々のために、
振り充てたかのような印象があります。

一方、一般会場では、中国からの
若い女性のバイヤーさんが歩きまわり、
欧州オリジナルの香水石鹸やキャンドル、
リネン類の手作り品など、
こまごまとした生活雑貨の小さなブースを回っては、
発注に忙しそうな姿があちこちで見られました。
彼女らにとっては、純粋に欧州品である、
というところが興味の中心の様子で
100個、200個というやや小規模の単位で、
私の脇を通りながら、次々と注文を出していきます。

中国の大都市での消費スタイルが、個人の好みに別れ、
商品の種類がこまごまと小さく分化する傾向にあるのでは、
と思いましたが、実際のところはいかがでしょうか。

私が3年前にアンビエンテ会場を訪ねたのは、
中国古道具に似たデザイン家具を見る楽しみのためでした。
本物の中国古道具に似た新しいデザイン家具は、
3年前には、本場中国からの出展ブースにありましたが、
今年は、これに似た真新しい家具が
インドやベトナムのブースにあるのですから不思議です。
そして、「それは、本物じゃないわよ」と
ついに言わずにおれなくなったのか、
今年は、本物の小さな中国古道具が少しだけ、
中国会場に顔を出しておりました。


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2007年3月16日(金)

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