伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第59回
「英語が話せなくってゴメンなさい!」

「大変申し訳ありません。私は上手に英語が話せなくて。
今の内容がお分かりになりましたでしょうか?」
「英語が上手く話せなくてゴメンなさい!」とこれは、
英語を使って話をしているドイツ人の方が、
時折、口に出される言葉です。

「大変、申し訳ありません…」などと
自分の能力の不十分さを認める発言なんて
欧米文化では滅多にしないもの、
そういう思い込みを強く持っていただけに、
しばらくは、これを聞かされた私の方がびっくりしてしまい、
何と応えたものやら分りませんでした。
ようやく、最近になって、
「いえ、とんでもない。
あなたの英語でのお話がよく分りました。
こちらこそ、申し訳ありません。
ドイツ語が上手く話せなくて。」
などと応えられるようになってきたところです。

ドイツに居る限り、いつでもドイツ語を繰れるようにするのが
本当は一番なのです。
でも、頭の中では分っていても、
そうは言っていられない場面もあります。
医者や税理士、役所や店の売り場の人などと
込み入った話をするとなると、
相手の言っている内容が次第に理解できなくなり、
お手上げとなるときがあります。

私の英語も決して十分とは言えないのですが、
日本では外国語と言えば、即、「英語」でした。
昨日始めたようなドイツ語よりは、
中学からの義務教育以来、
長年、びっちり日本で詰め込まれてきた「英語」の方が
まだ、いくらかでもマシと思いたくなる時があります。
そういう理由で、
より正確さが必要になる、込み入った話になればなるほど、
「申し訳ありませんが、英語を使わせてください」と
私はできるだけ丁寧にお願いすることにしています。

「残念ながら、私は英語が話せません。」
「大変申し訳ありませんが、
私の英語は十分ではございません。
英語が話せる他の担当者を呼びますので、
ここでしばらくお待ちください。」
相手も手馴れたもので、人によって
「いいですよ」という即答が難しい場合には、
怒ったり、笑ったりしたりして誤魔化さずに
大抵、そういうお返事をくれます。


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2007年3月21日(水)

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