伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第65回
復活祭

日本では、この季節、桜も見頃、
新年度が始まって新たなスタート・シーズンを
迎えたことでしょう。
ドイツでも、レンギョウの花が満ち溢れ、
春本番を迎えています。
そして、間もなく
キリストが甦ったことを祝う、復活祭となります。
月の満ち欠けなどによっても決まるので、
毎年、日付が同じではないのですが、
今年の復活祭(4月8日)は、
ちょうど二十四節気の清明とあい前後した形となりました。

英語でイースター(Easter)と呼ばれているこのお祭り、
ドイツ語では、オースタン(Ostern)と呼ばれています。
けれど、玉子やウサギを模した飾りを並べ、
復活祭の朝に庭にあらかじめ隠された、
色とりどりのゆで卵や
玉子の形を模したチョコレート菓子を
子どもらが探すという楽しみは同じです。

このシーズンの1ヶ月ほど前から、
店頭では、茶色ではなく白い殻の玉子が
優先してどんどん売れていきます。
学校や幼稚園などで、玉子の丸いままの殻を
色とりどりに塗る工作を楽しむので、
その材料集めという訳です。
白い殻なら、何色にでも染め上げられるのですが、
茶色い殻には、どうも鮮やかな絵の具が上手く乗りません。

ドイツに来て早々、ドイツ語ビギナークラスで、
生卵から玉子の殻だけを丸いまま取り出し、
それに好きな模様に色を塗ってこいという宿題がありました。
マジックや絵の具を使って色を塗るのは良いのですが、
玉子を大きく割らずに中身を取り出す方法が
分らず閉口しました。
ようやく玉子の上下に小さな針穴を開けて
そこから中身を吹いて出す方法を教えてもらったものの
小さな針穴を2つ、失敗せずに開ける苦労がある上、
その小さな針穴から生玉子の中身を
吹いて出せるほどの肺活量には、おおいに不足しました。

ずっと後になって、玉子に針穴を開けるための
キッチングッズがあるのを教わりました。
これを使って小さな針穴を1つ開けてから茹でると、
殻が壊れて白身が飛び出すことなく、
きれいな形のままのゆで卵ができるそうです。
また、ゆで卵に殻の上から赤や黄色、ピンク、青など
色とりどりのニスで塗り固めておくと
常温で1ヶ月ほど保存できる、とのこと。
ドイツの乾燥した気候にあう、食料保存の知恵です。


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2007年4月4日(水)

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