伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第66回
アジアブームの中のニッポン

欧州に住むアジア人とて、
中国やインドから来る人々だけではなく、
その国籍の種類はバラエティに富んでいます。
欧州に広がるアジアブームの中で、
「それは、お隣の国の文化であって、
私の母国のアジア文化ではないのよ」と言わんばかりに
それぞれの自国文化を主張し、
披露する催しを相次いで開いています。
舞台をアジアから遠く離れた欧州に置いているがゆえの
和やかなアジア合戦とでも呼びたい雰囲気があります。

日本もアジアの中の一員として、
周囲の国々と同様、自国PRチャンスの
真っ只中にいるのですが、
年初までは、どちらかというと控えめでした。
他のアジアの国と同じく日本も国をあげてのPR、
というより、今のところ、
企業単位の大小の催し事やPRが多いです。

3月に入る頃、フランクフルトやその周辺の
駅という駅のプラットホームの大看板を
日本の自動車メーカーが独占したかのように
広範囲に使った広告を出しました。
ドイツ雑誌の中では、
2007年には、東欧州圏での自動車販売競争に
どの国のメーカーが勝つだろうか、ということが
目下の話題に上っています。

テレビをつけているときに
Japan(ヤパン)という言葉が耳に入ると、
無意識のうちに振り返って画面を見ることがあります。
先日には、世界のその日の為替レートが表示される、
いつもならBGMだけの解説無しの数字が並ぶ画面で、
突如、「なぜ、今どき我々がここで日本円のレートを
表示しなければならないのか?」
をコメントする数秒が挟み込まれ、ヒヤッとしました。
「現在、日本の株式市場の規模が世界2位にあり、
今のところ日本円への関心が必要である」
と説明されていました。

昨年、ロックバンドが日本語を少し織り込んだ曲を
ヒットさせたので、昨年はラジオの中から、
「ARIGATO」と「SAYONARA」
という言葉がよく一人歩きしました。
また、現地語訳されたMANGA(漫画)が、
現代の浮世絵とも言える地位を占めているのでは、
と思えるほど、ドイツの若い世代の関心を引いています。


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2007年4月6日(金)

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