伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第70回
タイガーバームは常備薬

ドイツで一番親しまれている東洋薬は、
もしかしたら、薄荷の香りの塗り薬、
清涼油の「タイガーバーム」かもしれません。
大抵のスーパーマーケットでは、
絆創膏やうがい薬、ビタミン剤が並ぶのと同じように
家庭用常備薬のところに、
この小さな瓶が普通に並んでいます。

ドイツの学校は、大抵お昼過ぎまでで授業は終了です。
子どもたちの大半は、週のうち何日かは、
下校の足で、そのまま
サッカーや柔道などのスポーツクラブに直行します。
もとより、大人も大のスポーツ好き。
スポーツがもとになっての打撲や捻挫のみならず、
ドイツ人もやっぱり肩こり、腰痛に悩むのは、
日本人と同じです。
そういうときの常備薬として、アスピリンと並行して
登場するのがこの薬。
ここ半年では、アジア食品店にも、
類似品が並ぶようになりました。

なお、モグサはまだまだ普通には手に入りません。
私が分けてもらったのは、
日本の薬屋で一般向けに売られているのと
全く同じ、紙筒に詰まった小さな灸を
シールで皮膚に固定させるものです。
日本製のものだけではなく、
同時に韓国製のもいただきました。

点火すると煙がモクモク出るというのは、
ドイツの人にとっては、どうも苦手なようです。
ここに灸をするとどうなるか、と
私に灸をくれた本人は、
一つ一つ自分の身体で効果を確かめたり、
灸の強さとその効果を比較確認したりして
研究したそうですが、この煙は一体何事かと、
実験中に家族が部屋に駆け込んできて大変だった、
と話してくれました。

ドイツの家屋は機密性が高く、冬、暖かなのは良いのですが、
逆に食べ物などの匂いがこもりやすいので、
それをとても嫌がります。
家庭でも気軽にお灸というのは、
ドイツでは遠い話かもしれません。


←前回記事へ

2007年4月16日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ