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         第71回 
          この硬水には悲鳴をあげました 
        硬水のドイツの水を甘く見て、 
          その性質を知らずに日本と同じように扱ったために、 
          あっという間に、水周りをガチガチに 
          真っ白く固めてしまうというトンでもない目に遭いました。 
          来独していざ3日と経たずに私の悲鳴を上げさせたのは、 
          日本との水の性質の違い、あまりに硬いドイツの水です。 
        加えて、内陸ゆえのこの乾燥状態、 
          室内に湿度計を置いて観察していると、 
          1年を通じておよそ20〜60%の間を行き来しています。 
          雨がよく降るシーズンで、ようやく湿度60%と、 
          日本で最も乾燥すると言われる頃と同じ状態です。 
          春先の今頃はたいてい40%、喉がしきりに渇きます。 
        一晩たてば、水道の蛇口やシンクなど水分がとんで、 
          あたり一面、炭酸カルシウムで真っ白け。 
          しかも、次から次へと積み重なり 
          やがて周りの汚れを絡めながら、乾燥が進んで 
          硬化するばかりの「陸のサンゴ礁」となります。 
          これではダメだと、日本と同様、 
          クレンザーを使って磨き、水で流し清めたのですが、 
          ますます、悪化の一途、岩のようになるばかり。 
          泣く泣く毎晩マイナスドライバーの先を使って 
          塊をこそげ落とすにも限界があります。 
        限りなく純水に近いとも言えそうなほど軟水国、 
          しかも豊富な水の国、日本から180度の方向転換。 
          やがて、この硬水がドイツ衣食住のすべての習慣を 
          支配しているのでは、と察するようになりました。 
        水を使えば使うほど厄介ごとが増えるので、 
          できるだけ使わない(大量に使うなんてとんでもない)、 
          流さない(流すならば最小限を有効に流す)、のが原則です。 
          食材の調理方法も生活家電の使い勝手も家屋の造りもそうです。 
          「水をできるだけ使わないこと」が 
          ドイツ的生活の最大の基本、であるようです。 
        「水」に関した日本のことわざを 
          ドイツ感覚を添えて思い出せば、 
          「水に流す」なんて、とんでもない。 
          「立て板に水を流すように」なんて、ありえない、 
          「湯水のように使う」なんて、ますますもって許せない、 
          という具合になってしまいそうです。 
          長年住むつもりであればあるほど、 
          水をたっぷり使う日本の暮らし方では 
          到底通用しそうにありません。 
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