伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第91回
ドイツといえば、ビール

「ホップ・酵母・麦・水」だけの混じりっ気無しの
美味しいドイツビール。
これが本当に美味しい季節になりました。
例年ならば6月の今ごろから、
今年は例年より一足早い、夏の暑さで4月から早々と
表通りに並んだ椅子にゆっくり座って、
道行く人の姿を眺めながらビールを味わうのに
大変良い気候となっています。

日本では、10月のミュンヘンで開催される
ビール祭りの様子が印象深いと思うのですが、
美味しいビールが頂けるのはミュンヘンだけではありません。
ドイツであれば、どこででも大抵その土地、
その土地で育まれた大小の醸造所があります。
フランクフルトの郊外も然り。
鈴懸の木(プラタナス)の木陰に
長い木製ベンチとテーブルが並んでおり、
皆がゆっくり静かにジョッキを傾けています。

ドイツのどんなお店ででも、「ビールを下さい」と注文すれば
必ず、「どのビールにしますか?」と聞き返されます。
日本では、主にメーカーを問われるものですが、ここでは
「どの種類のビールにしましょう?」という意味です。
麦の種類やそのコンディション、醸造の方法などで
味は千差万別…、呼び名もいろいろ。
その味わいの違いを一つずつ求めるのも
ドイツ歩きの楽しみですが、
まずは、低温醸造、下面醸造という意がある
「ピルスナーを下さい」と
一言告げていただければ、出てきた冷たい黄金色の一杯に
「ああ、美味しい、ドイツに来て良かった!」
ときっと感動していただけると思います。

場所にもよりますが、
小さいサイズが300mlでだいたい2ユーロ、
これは、コーラの同サイズとほぼ同じ値段です。
このほんの1杯を大抵のドイツの人は、
ゆっくりゆっくり1時間以上もかけて楽しみます。
それだけ時間を掛けていても味わいが失われないという
不思議な魅力があるのがドイツのビール。

その、ほんの1杯だけのために、
お金財布の中身を大事にしながら
時間財布の中身をたっぷり使って夕日でも眺めながら、
心からゆっくり楽しむことができれば、
ドイツのごく普通の日常の一片を体験した、と言えます。


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2007年6月4日(月)

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