伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第105回
行ってみないと分りません

いざ、渡航準備を始めてみようとしたところ、
荷物の整理をすることまでは、すぐに思いついたのです。
けれど、あと少し日本に居る間
私は一体、何をしておかなくてはならないのだろう?
というところでハタと立ち止ってしまいました。
未経験もいいところで、何も思い浮かばないのです。

そのうち、今まで日本で納めてきた
年金や健康保険料は、どうなってしまうのだろう?
この年齢から、別の国のシステムに
最初から乗り換えなければならないのだろうか?
などという疑問が次から次へと湧いてきました。

妥協に妥協を重ねた結果、
ようやく受け入れ側が出してくれることになったのは、
片道分の飛行機代と、少々の身の回り品の送料のみでした。
その他は、全て、毎月の家賃も何もかも、
自力で工面しなければなりません。
そこで、とにかく、国の外に住んだことがある人に
こういう事柄について、
どう対処したらよいのか聞いてみようと思いました。

友人、友人の紹介、そのまた先の紹介という形で、
次々と外国暮らしの経験者をあたってみると、
日本国内でお話が聞けたのは、全員、
日本企業の駐在員としての外国暮らしの経験者でした。
外国に移り住んだ日本人が、
常に日本に居るわけではないのに、私は、
まだ、それに気付いていなかったのです。

そして、お話を聞いてようやく私が理解できたのは、
日本の企業が社員を外国に赴かせるときには、
現地でできるだけ素早く、その任務に専念できるように、
そして、任務を終えたら日本に無事に帰国できるように、
という大前提があるということでした。
私には、その大前提が全くありません。
私が持った外国暮らしの疑問などは、
必ずしも、外国暮らしを経験している人、全員が
遭遇する共通の問題ではなかったのです。

要するに、将来、想像以上にお金が掛かりそうだ、
ということだけが、おぼろげながら分ってきました。
でも、私はお金をあてにして国を出るのではありません。
今まで来た道の続きが、そちらに見えるから行くのです。
かと言って、私にお金がたくさん持てるようになるまで
ずっと待っていたら、寿命がいくらあっても
足りないことも分りきった話です。
こりゃ、想像以上に大変そうだ、と思いました。

もう、つまらぬ疑問をこれ以上持っては時間の無駄です。
考えていても仕方がない、とにかくもう、
現地に行ってみないとこの先は分らない、と思いました。


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2007年7月6日(金)

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