伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第107回
氷を入れて冷やすなんて…

暑い夏には、冷えたビールに枝豆、
アイスにカキ氷、冷麺、素麺…というところでしょうか。
クラッシュアイスのサクサク音、
ストローをまわすと、カラン・カランと
氷とグラスが鳴り響く音…。
ああ、夏だなぁと思っていたこういう音とは
ドイツに来ると無縁になってしまいました。
食べ物や飲み物は、冷やして食べることがあっても、
氷片をできるだけ入れないようなのです。

これをドイツ的節約・倹約モードで、
どうしてかな?と考えてみると、こんな具合でしょうか。
「水を凍らせてそのまま、食べ物の中に入れると、
溶けて味が薄まってしまうじゃないか
(食べ物がもったいないじゃないか)」、
「もとの液体の量が少なくなってしまうじゃないか
(氷の体積分、飲み物をいれるのが勘定として妥当だろ?)」、
「もともと液体をちゃんと冷やしていれば、これ以上
氷なんて入れる必要がないじゃあないか…
(なんて、エネルギーの無駄な!)」。

家庭ならば、ジュースを凍らせて
アイスキャンディーを作るほうが
水を凍らせて氷を作るよりも、ずっと馴染みのある話です。
カキ氷はあまり見かけませんが、
アイスクリームを食べて涼むことはよくあります。
暑い日には、アイス・カフェと呼ばれる、たっぷり山盛り、
色とりどりのアイスクリームを食べさせるお店が、
通りにテーブルや椅子を並べて大繁盛。
こういうカフェで飲み物を頼むと、
たまに、溶けかけたキャラメルほどの大きさの
薄い氷片がほんの2個ほど、
小さく浮かんでいるときがあります。
これがドイツの氷の使い方です。
食べ物に氷という形だけではなく、
もともと、ドイツには「冷やす」という
観念があまり強くないことに気が付きます。

本当は、冷房器具による冷気も
あんまり積極的に好きそうではない様子です。
冷房を効かせるために締め切った部屋は、息苦しい、
自然な冷気ではないので身体に悪いと言って、
避けようとする人もあります。
どうしても、暑くてダメ、というときは、
窓を開け放して冷房をどんどん効かせる…、
というこれまた、アジアでは、
びっくり仰天されるような光景も
全く無いわけではありません。

暑くなくては、やっと夏がやってきた!という
開放感に欠けてしまいますが、
日光浴をしながらアイスを食べるだけで十分!
という程度がドイツの快適な夏の暑さ、と言えそうです。


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2007年7月11日(水)

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