伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第108回
今、西洋から学ぶことは…

今から20年ほど前、同僚が出張先から、
興奮覚めやらぬ顔で帰社しました。
一体、何があったの?と聞いてみると、
首都圏のある私立大学と米国の大学との間で、
「インターネット」というものを使って、
「電子メール」というものをやりとりする実験を
見学してきたところだ、というのです。

「国際電話で、アメリカから、
じゃあ、今から送りますよ…と聞いたと思ったら、
それが、もう…すぐ、瞬間的に着くんです!
こりゃあ、世界が劇的に変わりますよ。
郵便だけではなくて、電話だって可能です。
写真だって、すぐに送れるようになります。
アルファベットでの英文だけでしたが、
そのうち、日本語でも何でもOKになります。
今は、学術的な研究にしか利用されていませんが、
間もなく世の中、全てがこうなるんですから…」と、
堰を切ったように説明が始まったのです。
その時は、雲を掴むような気持ちで
ふ〜ん…と聞いていただけでしたが、
現代となっては、それが当然のように
あっさり実現してしまいました。

こんなに世界中の情報が瞬時に飛び交うようになると、
人と人とのコミュニケーションの形も変わります。
飛行機が地球を飛び回るよりも、
話の方がずっと先を次々と飛んで回っているのですから。
人や物だけが動いている時代には、どうもこれは…
と気にそぐわない時点で、さっと鎖国ができたのですが、
情報だけが、難なく海を越えて入ってくる時代になると、
何もかも、遮るのがそう簡単にはいかなくなりました。
鎖国ができる時代ではなくなってしまったので、
自分で頭を使って、必要な情報だけを拾い、
自分に必要な人とのコミュニケーションを
確かにする知恵が要ります。

日本を離れるときに、思ったのです。
インターネットの時代だから、情報が溢れ返っているし、
日本の中の生活は、もう十分、洋風化されている。
明治大正の時代でもあるまいし、
今更、私は欧州で何を見れば良いのだろう?
もう何もないじゃないか、と、思えていたのです。
でも、もしも、
日本でまだ西洋のスタイルに学ぶところがあるとすれば、
異文化同士であっても、
自分も相手も尊重できる、
コミュニケーションの取り方の上手さかな…と、
最近になってそう思うようになりました。
インターネットの時代だから必要が生じてしまった
コミュニケーションの取り方のスタイルに、
まだまだ、西洋から学べるものがありそうな気がしています。


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2007年7月13日(金)

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