伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第109回
一番節約したいのは通信費?

ところで、ここでのインターネットや携帯電話など
通信機器の使いっぷりは…?
まず、日本やアメリカほどインターネットの
インフラストラクチュアが、普及していないというのが、
ドイツなど欧州のほとんどの国の事情。
え〜っ!?と驚かれるかもしれません。
ごく一般的な状態では、日本でほど、
皆、あまり深く、日常的に依存していないようなのです。
ただし、インターネットを使うと便利になる部分、
例えば、交通機関の予約や銀行取引などは、
日本よりも格段に機能が充実しています。
社会としてインターネットが有益である部分は
認識しているんだな、と分ります。

でも、それ以上は、どうかというと、
もっとアッサリしています。
職場でのネット環境が整えられてきているとはいえ、
「え、今日は、インターネットが使えない?
ならば、今日の私の仕事はできません。
では、帰宅します。また、明日…」
とならないようにするには…と考えるだけでも、頭が痛い話です。
家庭に、仕事を持ち帰る?…とんでもない。
パソコンは家庭の必需品ではありません。

こまごまとした連絡がすぐに何通も電子メールで来る…、
少しでもプロバイダーの調子が悪いともなれば
仕事が進まなくて怒りたくなる…ということは、
イライラするだけ損です。
もっと正直に伝えるならば、
そういうことにお金を無駄使いしたくない、
という節約・倹約の意志がここにもあります。

本当に必要な用件ならば電話で伝えればよいし、
相手も本当に必要な事情ならば電話で連絡してくるだろう、
という判断は誰にでも常にあります。
書類の形式を大切にする国が欧州には多いので、
できるだけ郵便による、
実書面を使う習慣も色濃く残っています。
そして、個人事情であればあるほど、
この次、職場や学校で会ったときでも別に構わない…と、
たっぷり中身が入った「時間財布」の方を使うことを考えます。
通信機器に頼りすぎない分、
パソコンや携帯電話など電子機器代や
通信費、その消耗品やらの代金をおおいに節約に回した方が
「賢い」と考える人が少なくありません。

そして、携帯電話はと言えば、
以前に比べれば普通に見られるようになりました。
でも、固定電話でも携帯電話でも用件だけを伝えれば、
数秒でパチっと切る節約精神たるや見事なものです。
大抵のドイツ人は、電話代が掛かるのが許せません。
面と向かって話すおしゃべりは大好きなのに、
電話での無駄話、長電話をとても嫌います。
例えば、電車の中などで、いつまでも携帯電話での
お話が終らない人を見ると、煩いわね、というより
「まあ、お金を無駄使いする方ね!」
という意味の表情を一瞬見せる人もいます。
長い、長い休暇をたっぷり楽しむためには、
これくらいの節約努力を日頃から惜しんではいられません。


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2007年7月16日(月)

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