伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第113回
日本人はライン川下りが好き

スイスでアルプス山脈の水を集め、
ドイツ・フランスを通り、やがてオランダに至り、
北海に注ぐ、ライン川。
全長1320キロメートル余りの国際河川です。
物資や旅客を川上へ、川下へと運ぶ船は
今も途絶えることがありません。
川下へは鋼材が、川上には石炭が向かうのが見られます。
フランクフルトはというと、
ライン川の支流のマイン川のほとりにあり、
これを少し下るとマインツと呼ばれる都市で、
ライン川に合流します。

マイン川とライン川の合流地点を過ぎると間もなく
川辺に沿って広大に広がる葡萄畑が見えてきます。
特別に、ラインガウという名が授けられる
ドイツワインで有名な地点です。
その中に、リューデスハイムという町があります。
ここから、ライン川下りの遊覧船に乗りこむ、
日本人観光客が多いのだそうです。

「どうして、日本人はあんなにライン川下りが好きなの?」
と聞かれることがあります。
観光バスを何台も何台も連ねて来る、というのです。
日本人がライン川下りが好き…というのは、
それはありうる話かな、と思いました。
こちらのライン川は、上下に航行できるので、
「下りの船」も「上りの船」もあるのですが、
人気なのは、「下りの船」。
遊覧船の中では英語・ドイツ語の他、日本語でも
ガイドテープを流しています。

「日本には、小さな島国なので周りは海ばかり。
大きな国際河川がありません。
もしも、いつか欧州に旅行することがあったなら、
国際運河と呼ばれるライン川を訪ねてみたい。
あの、美声が聞こえるというローレライの歌にある、
ドイツのロマンティシズムを身近に感じてみたい、
という憧れがあります。
日本ライン下りと呼ばれる、ラインという名を
充てた観光川下りもありますよ。
ローマ時代の遺跡や欧州風の古城はありませんが、
日本の古い城址があります。」
と答えました。

ドイツ人としては、ちょっと良い気分…
大抵、「ほぉ…日本人は、そんなに
ドイツのロマンティシズムに憧れているのかぁ。
ラインと名づけた場所もあるのかぁ。」と
満足そうな表情を見せてくれます。
それにしても「日本ライン」とはよく名づけたもので、
ラインの川面からの風景は、
日本の中部地方の川辺の風景のイメージに
少し重なる部分があるように思えてきます。


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2007年7月25日(水)

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