伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第114回
パリまで4時間11分・片道29ユーロ!

この6月からフランクフルトからパリまで、
国際新幹線で4時間11分に短縮されました。
山地の間の都市をぐるりと通るので、
まだこの時間ですが、
地図の上の直線距離は、500キロ足らず。
日本で言うなら、ざっと大阪・福岡間の距離です。

これまでは、片道6時間を見なければならなかったので、
急に近くなった気がします。
価格は、2等列車の通常チケットで片道99ユーロ。
1等列車は、日本の新幹線の「グリーン席」の感覚なので、
日本の「普通席」の意味である2等列車でも
十分快適な旅を楽しめます。
しかも、これを記念して、
この夏には大人片道29ユーロ、という
格安チケットが数量限定で売り出されました。
バカンスシーズンを目前にした4月からの前売りで、
あっという間に売り切れましたが。

運営しているドイツ鉄道、DB(ドイチェ・バーン、
旅客サービスを指してディー・バーンとも呼びます)は、
夏のバカンスシーズンを前にして
ときどき、格安びっくりチケットを提供してくれます。
例えば、昨年には、期間限定でドイツ中どこまで行っても、
4枚綴りで100ユーロというのがありました。
グループで使ってよし、一人で使ってよし。
そのままの価格で新幹線にも乗れるので、
遠距離の旅に使えます。

また、こういう特別なサービスチケットは
駅の窓口だけで販売とは限りません。
安売りスーパーやハンバーガーのチェーン店のレジで
限定数だけを販売する、サプライズ・セール。
え?どうしてここで?というような場所で
突然、ビックリ販売をする仕掛けです。
駅のポスターやホームページなどに、
予告が出るとは限りません。
大抵、朝のラジオなどで、ほんのちょっと
ドイツ語での「お知らせ」が流れるだけなのです。
「今日のあなたは本当にラッキー!なぜなら…」という
ラジオの声のその一瞬をよ〜く聞き取って、
すぐ、その足で買いに出かけると手に入ります。

皆、「時間財布」の中身は大抵たっぷりありますから、
それっと迷わず、車を遠回りにしてでも、
その足でDBの安売りチケットを買いに走ります。
当然、「お金財布」の中身のビッグな節約のために。
日々、平凡なただ繰り返しの生活だからこそ、
首尾よく手に入れられたときに
強く感じる満足感・達成感も、
宣伝効果の中に上手に組み込まれています。


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2007年7月27日(金)

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