伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第115回
線路は続くよ…

ドイツ鉄道、DB(ドイチェ・バーン)は、
旧東西ドイツの鉄道機関が一体になって、
1994年から株式会社として運営されています。
株式会社になって民営化されたところまでは、
日本の鉄道事業とよく似ています。
でも、郵便事業を担当しているドイチェ・ポストと同じく
日本と異なる取り組みもあります。

まず、DBは、ドイツ国内のすべての公共の交通機関、
鉄道の他に、地下鉄・郊外線・路面電車・路線バスなどは、
全てここに統一管理される形になっています。
チケットも一元管理されているので、
バスから電車、地下鉄から新幹線など、
乗り換える毎にチケットを
一々買い換える必要がほとんど無く、
乗客としては大変、便利です。
また、万一、工事や事故で、線路や道路を絶たれても
連携がスムーズなので、
代替の交通手段にすぐに乗客を誘導するシステムです。

また、四方を海で遮られていないので、
貨物輸送も旅客輸送も国際路線への事業拡張に熱心です。
地続きであることを多いに利用して
フランスはもちろん、ロシア、中近東へと
目下、国際路線の整備に積極的です。

フランクフルトから東の方向に目を向けると
そこにはやっぱり、ユーラシア大陸を抜けて
中国にまで繋がろうとしているのが分ります。
アジアの景気と共に売り上げを伸ばす、
飛行機や船舶での輸送に負けてはならぬと、
ロシアと貨物輸送に関する合意をしたと
DBが公式発表したのは、昨年4月末。
そして、その年の11月には、
北京・フランクフルト間の貨物輸送が開始されました。
そして、陸上運輸を担当するDBの中国にある子会社が、
来年8月の北京オリンピック用の物資運搬を担当する、
としたのは、昨年12月のことでした。

一方、フランクフルトを通る鉄道を北西方向に見ると、
マイン川の沿岸にある工業地帯と繋がり、
そして、ライン川沿いをひた走る
貨物列車の線路に続きます。
この線路は、ライン川河口にある
オランダに向かって延びています。
地続きの国境を越えて東西南北へ
次々と繋いでしまおうとする勢いが見えます。


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2007年7月30日(月)

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