伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第118回
もうすぐ新学期

日本では、1学期が終って、夏休み本番!
という頃なのですが、ドイツは、そろそろ年度始め。
新学期を迎える準備をする頃となりました。
学齢で見ると、日本よりも半年早く
新学期が始まる感覚です。

小学新1年生を迎える子どもたちのために、
ランドセルや、新しい文房具や小さなお菓子を
三角帽子のような筒に入れて持たせる
「お祝い」準備のための売り場が賑やかです。
進級する他の学年も、夏休み中、宿題は無し。
塾も無し、模試も無し。
何と言ってもお稽古事の先生も夏はお休み。
新学期が始まるまで、
皆、う〜んと羽を伸ばして過ごすようです。

ところで、小学校から大学までの公立学校の授業料は、
ほぼ無料というドイツの就学制度。
これは、世界中の多くの国の人々にとって、
大変、魅力的に見えます。
しかし、最終的な大学進学のコースに入るには、
少なくとも進路を決める、
10歳になるまでに、相応の学習力とアピール力、
そして流暢なドイツ語が求められます。
しかも、先の先のコースまで進めるのは、
今も、クラスに数人、10人に1人という狭き門。
「私がもしも、今、10歳だったら、
ギムナジウム(大学受験資格を得る学校)に行けるかなぁ?」
と教師をしているドイツ人に聞くと、
ワッハッハと大声で笑われました。
「あなたのドイツ語じゃ、ダメよ!」

この進学チャンスはドイツに住む権利を得ている外国人にも、
与えられています。
フランクフルトの現地校を見学させていただいたとき、
あまりの国際色の豊かさに、
生徒に要求されている競争力の激しさは、
日本にあるものと全く違う激しさを持つものだと知り、
愕然としました。
たとえ、ドイツ人であっても、進学を望むなら、
気を抜くことができないでしょう。
生きるための知恵を幼い頃から、個人、1人1人に
厳しく要求されている様子に、たじたじになりました。

ドイツには、高い学歴を与えるチャンスを
子どもに授けたいと考える人が世界中から集まります。
そして、できるだけ幼い頃から
現地校で学ばせるために、子どもには絶対に
ドイツ語でしか話しかけないようにしたり、
ドイツ語の私塾キャンプに入れたりして、
子どもを徹底的にドイツ語に馴染ませようとします。
ドイツに来たばかりらしい、幼い子どもを連れた
外国人の若いご夫婦の姿を多く見かけるのも、
毎年、このシーズンのことです。


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2007年8月6日(月)

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