伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第120回
玉ねぎ・ベーコン・酢・砂糖

日本の台所で欠かせない、
昆布・鰹節・ミリン・醤油…をドイツ版で並べると
表題になるのでは、と思っています。
玉ねぎ・ベーコンをベースに、
酢で味を引き締め、引き締めた分を甘みで調節するなどと、
味の足し算を頭の中でイメージしていただくと、
あ〜と落胆のトーンになってしまうかもしれませんね。
味にまとまりが無くなってしまって、
格調に欠ける、だからドイツ料理は…
となるのでしょうか?

毎日の生活をする上で、
和食用の食材をわざわざ、日本から取り寄せたり、
日本製のものばかりをアジアショップで買ったりすると、
とても高くつき、まともに生活していられなくなります。
和食でないとダメだというほどでもなく、食べ物の種類には、
あまりこだわらない性分だったので、
市場で並んでいる普通の食品を、普通に使う方法を
ゆっくり聞いて周るのが、気晴らしになりました。

というのも、日本食の軟らかい、
歯ごたえがシャリシャリとはいえ、
ともかく噛み切れる程度に軟らかい食材が多いのに対し、
来た当初は、ドイツの市場にある肉も野菜も果物も、
堅くて、あごが疲れてしまい、
上手く噛めず、美味しく食べられませんでした。
全く初めて見たときには、レタスは厚手の和紙のよう、
キャベツは、まるでボール紙のようにみえ、
セロリはまるで、棒切れのようでした。
皆、本当に生食しているのか?と仰天したほどです。

今では、これに慣れたので、
日本の食材の軟らかさに驚くことが多くなりました。
ドイツの食材は、
硬水と乾燥のためか、非常に堅いのですが、
味が濃く、水道から出る硬水を使ってゆっくり加熱すると、
肉も野菜もそれだけで
滋味のあるスープがとれる優れ物と知りました。

そのうち、具体的に教えを乞うてみると、
何を作るにしても、ドイツ家庭料理の味の組み立ては
ネギ類・ベーコン
(あるいはシンケンと呼ばれる塩味の濃いハム)
が多いように、思えるのです。
特に冬場の保存がきく、玉ねぎを多く使い、
暖房を兼ねたストーブの上に鍋ごと乗せておけば、
そのままで、一丁上がりと食せる料理が少なくありません。

確かにこれでは、手間要らずな分、それなりに大味です。
でも、多くの食肉加工品はそのままスライスして食すか、
あるいは、ソテーするか、ボイルするかだけで食せるように
加工が終っているものばかり。
調理するために余計な水を大量に使うこともなく、
余分な燃料を使うこともなさそうで、
節約・倹約という利には
大変かなっているように見えるのです。


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2007年8月10日(金)

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