伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第130回
お買い物は、電子マネーで

ドイツの人の大抵の、お財布の中には、
適当な額の現金のほか、
「ECカルテ」と呼ぶ、電子マネーのカードがあります。
いちいち、現金を投入してチャージする必要はなく、
いわゆる、銀行の預金口座から、
キャッシュ・ディスペンサーで現金引き出しをするときの
銀行カードと全く同一の1枚ですが、
これで、買い物もできます。

クレジットカードと異なるのは、
信用で引き落とし日を繰り延べにすることなく、
その場で直接の現金決済、
つまり、即、引き落としになることです。
銀行にもよりますが、これを使う側には、
大抵、そのための手数料は掛かりません。
ただし、クレジットカードのようにサインか、
あるいは、暗証番号の入力を使うときに求められます。

大抵の場所で、10ユーロ未満からの支払いに使え、
引き落とし日時と場所が明確に管理されるため、
一種の家計簿代わりです。
このECカルテでの決済の取り扱いをしている店舗は多く、
スーパー、レストランなど大小の小売店が
その仕組みを採用しており、
そうでない、キオスクなど現金決済のみの店舗を
探す方が難しいほどです。
そして、ドイツ国内だけではなく、EU圏内であれば、
原則として、どの国でも利用できるようになっています。

小売店では、500や200ユーロ札はもちろん、
どうかすると、100や50ユーロ札も扱うのを
大抵、嫌がって断られます。
電子マネーは、いわゆる偽札による被害を
極力、回避する機能を持っています。
そういうことで、市中でよく使われているのは、
50ユーロ札以下の紙幣と、2ユーロ以下の硬貨。

このECカルテで1日に決済できる金額を決めて、
財布の紐を締める役割もあり、
必要な現金以外を持ち歩く必要がなく、
電車に乗って銀行まで出る必要も少なくなり、
安全面も確保されるとあって、慣れると非常に便利です。
こればかりは、本当によく出来た機能だと
いつも感心してしまいます。
ECカルテとクレジットカードとの見分けが付きにくいので、
「ドイツ人はいつもクレジットカードで買い物するのね」
と思う外国人が多いそうです。
でも、彼らがよく使っているのは、ECカルテです。


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2007年9月3日(月)

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