伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第132回
ブタの貯金箱のその先は?

日本とドイツと2つの国で似ている影法師の一つには
「せっせと貯金に励む姿」があります。
似てはいるのですが、
やっぱり2つは「違う」と私は思うのです。

ドイツ人の日頃の個人生活での
徹底した節約・倹約精神ぶりは、
日本語ならば、堂々の「ケチんぼ」の域に
入るのではないかと思います。
もちろん、日本を始め、アジアの国々でも、
大勢の人が、日々、節約・倹約に励んでいるのは事実です。
でも、アジアの節約・倹約ぶりと決定的に異なるのは、
節約・倹約のあとに続く、消費への関心の度合いです。

例えば、家も家具も、車も外車で…と
「西洋風の生活をしたい!」という
アジア人の多くが強く持つ「共通の消費目標」が、
欧州人にはまず、見当たりません。
ドイツ人も、節約の結果として、
消費することに無関心ではなさそうなのに、
各自の好みや懐具合に合わせて、
趣味や休暇旅行に…と、
消費の目標や規模はバラバラです。

さて、所得税、年金、健康保険、失業保険など
収入の半分ちかくを国家に預けてしまうと、
給与額面の半分ほどが実際の手取り収入となります。
この手取り収入の中から、
家賃・食費・電気ガス水道代のやり繰りとなると、
個人が自由な消費に使えるお金は限られてしまいます。
こういう状況で10セント玉を1個、
20セント玉を1個…という歩幅で、
日々、節約を積み重ねた効果は、
多産の象徴、ブタの貯金箱にせっせと押し込まれています。

貯金箱に押し込まれたお金はどうなるのでしょう?
彼らの節約ぶりが並々ならぬ分、
まさか、金利ゼロの貯金箱預金のために、
日々の節約を励むはずがないだろう、
と思えてしまうのです。
かといって、バクチ好きな国民性でもありません。
手堅く、かつ、ますます、お得な場所にしか
大事なお金を置きそうにない…
そういう意味で、ブタの貯金箱のその先は、
やっぱりどこかに繋がっているのだろうな、
と思えてきます。


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2007年9月7日(金)

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