伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第139回
ドイツ流の景気対策

「日本はゼロ金利政策を止めにした」、
というニュースを異国で聞いたときには、
なんだか少し複雑な気分がしました。
特に「近年のバブル最後の膿出しは
本当に大変だった」という意味の解説が
併せて並ぶのを見ていると、
私は、膿出しついでに日本から押し出されて、
ここまで来たのかぁ…と、
移住真っ只中の渦中では全く見えなかったものを
今ごろ、見たような気がしました。

と、同時に、日本での80年代後半から始まった、
あの地価や物価の異様な上昇振りや、
その後の長い坂道は一体、何だったのだろうと
思えてきます。

「いや、ここ20年ほどの日本は本当に大変でした…」
とドイツ住まいが30年以上になる日本人の方々に話すと、
え、日本にもそんな時代があったのですかと驚かれ、
「でも、ドイツも全く同じ時期に
急激な地価の上昇や銀行の貸付、
その後の急激な値下がりの結果に苦しんだ時が
一時ありました…」と、今度はこちらが驚かされます。

ドイツも日本と同じようであった、
とは聞いてはいても、
日本と同じくらい激しいときがあったとは
全く思っていなかったので。
むしろ、ドイツは日本より最初から
ずっと軽症だったのだろう、と思い込んでいました。
日本ほど長い期間、
苦しんでいたようには見えないのです。

貯金をするに、ほどほど魅力的な金利はずっと続いています。
日本とは違う、ドイツならではの手の打ち方や
景気の波の乗り方があったのかもしれません。

そんな近年のドイツ流の景気対策の手腕を
一般人に分かりやすく、
前向きに解説した日本語の資料はないかと
この夏、探してみたのですが、
良いものがどうも見当たりませんでした。

でも、あると良いなと思うのです。
「え〜ッ? ニッポン人なのに
そんなことも知らないのォ!?」と
周りのドイツ人やアジア人の皆から
呆れられるのは、ちょっと格好悪いですから。


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2007年9月24日(月)

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