伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第141回
洗車するなら雨の日に

毎日、せっせと節約・倹約する生活は、
多くのドイツ人の暮らしの習慣になっています。
アジア人の目で見ると、
こんなところでも節約するのかと、
不意打ちを食らう場面に出くわします。
雨の日の愛車の洗車もその一つ。

雨の日の僅かな晴れ間を見つけて、
大きなスポンジを取り出すと、
車に乗った雨滴を使って、
せっせと車体を拭い、窓やミラーを磨きます。
節水は日常茶飯事なので、
どうしても、雨が降らない晴れ続きの日には、
子どもの砂場遊び用ほどの小さなバケツに
1杯の水だけで汚れをゆっくり拭き取り、
ワックスで磨き上げます。
雨水を使って自分で車を洗うのも、
お金財布の中のお金を使わずに、
時間財布の中身の時間をに使う節約の知恵です。

もともと、車の手入れをするのが大好きなのか、
自分の持ち物の手入れをしないと気がすまないのか、
愛車をせっせと磨き上げるのは好まれています。
土埃で汚れたまま駐車している車の窓ガラスに
「早く私を洗車してッ!」と
指で大きく落書きされている光景もたまにあり。
通行人がクッ…と笑いを
かみ殺しながらその横を通り過ぎます。

ガソリンスタンドに行けば、
機械を使って洗車してくれるオート・ワッシュの
一番簡単なコースが、10ユーロほどからあるのです。
身体を動かして洗車するのは苦手な人、
車体に傷を一切つけたくないピカピカの高級車を
持つ人などが使います。
でも、足代わりに乗り回す普通の車のためならば、
車の上に乗った雨滴を使って、
自分でささっと磨き上げてしまう、のは常識の範囲。

ご近所さんたちを見ていると、
会社費用扱いされているらしい、
ピカピカの高級ドイツ車を自ら運転してご出勤。
こちらの車は、ガソリンスタンドで
綺麗に洗ってもらうのでしょう。
そして、大抵、別に自前の車をもう1台持っていて、
こちらをにわか雨の日に手入れをするようです。


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2007年9月28日(金)

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