伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第150回
空腹を我慢するなんて…

「ああ、お腹が空いたぁ…」と
ドイツ語の授業が終ったとたん、
つい、私はそうつぶやいてしまったのです。
それを聞くや、
「なぜ、もっと早くそれを言わなかったのか?」と
先生から驚いて強く注意されました。
こちらは、「ちょっとくらい、我慢しなさい!」ではなく、
「早く何かを口に入れなさい!」といわんばかりの
その注意の強さにビックリしたのです。
「空腹」に対する意識が、周りのドイツ人と
日本人の私とでどうも違うらしい、のです。

日に3度の「食事をする」習慣を持っている
日本人の目線からは気が付きにくいことですが、
空腹を満たすために食べ物を「食べる」のと
「食事をする」のとでは違うもののようです。

ドイツで「食事をする」というのは、
その日の「温かい料理」を食べる風景になります。
家庭やレストランで「テーブルについて」、
あるいは、「立ったまま」で
ナイフとフォークを使って、
スープや茹でたソーセージ、肉や野菜のソテーなど
加熱調理した「温かい料理」を食するのは、
「食べて空腹を満たす」上に
なんらかの至福感が重なっています。

そして、食べ物を「食べる」というのは、
「空腹を我慢しない」ことを言います。
「お腹が空いた…」というのは、
よほど、ダイエットしたい人でもなければ、
トイレに行きたい、というのと同じくらい、
「人間が無理に我慢してはならない」ようです。

多くの人が生まれたときからずっと、小腹が空けば、
我慢しないという生活を習慣にしています。
歩きながらでもリンゴやパンを食べ、
時間に関わらずヨーグルトやアイスを食べます。
1日1回「食事する」のを習慣にする家庭や
施設でなければ、次の「食事」はいつになるのか
決まっていない人も多そうです。

今のところ、食べたいときに、食べたいものを
食べたい量だけ「食べて」いるので、多くの人が
「飢えて」はいません。
皆、良い体格をしています。
空腹を我慢しないようにするために、
「食べ物を常に確保しておく」ことは、
毎日の個人生活のレベルはもちろんのこと、
ドイツの国全体のレベルでも
きっと大事な仕事なのだろう、と思います。


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2007年10月19日(金)

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