伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第151回
ほう、これが米かぁ

この秋、フランクフルトにある、
パルメン・ガルテンと呼ばれている植物園の温室に、
中国南西部の風景が再現されました。
「豊富多彩」というテーマで
特に「雲南」周辺に注目し
その自然の風景と、
人々の暮らしを紹介しようという企画展示です。

「ゆったりした暮らしのペースと
豊かな自然環境を守りながら、
人類に有効な植物を豊富に生産する努力をしよう」と
ドイツと中国で国家をあげて
共同経済開発されているのがこの地だそうです。

会場に一歩、足を踏み入れると、
懐かしいアジアの風景がありました。
現地の植物が、大小の鉢植えになって運び込まれています。
ドイツの弱い日照では、たちまち枯れてしまうので、
室内灯の光がたっぷり与えられていました。

入り口には、
蓮と小さな浮き草が密集する水盤があります。
黄緑色の小さな浮き草は、
ドイツではちょっと珍しい植物です。
鉢植えの「茶の木」や「こうぞ」に並んで、
プーアール茶と唐紙の紹介。

薬箪笥に並んだ漢方薬の紹介。
生薬の乾燥物や鉢植えが並んでおり、
その薬効を解説したカードが添えられています。
冬虫夏草、人参、甘茶づる、ドクダミ…。
気温や湿度が違うためか、このドクダミ、
鉢植えの葉をつまみあげてみても、
全くあの臭いがありません。

そして、春の棚田の風景を写した大パネル。
パネルの前には、泥で囲った即席の「水田」があり、
丁寧に稲の苗を植えています。
米を食べることはあっても、稲作の風景なんて
見たことがないという人が多いのです。
「ほう、これが米かぁ」と見物客は
声を上げて眺めます。
稲の説明パネルには、
「品種改良によって生産量を上げる研究をしている」
となっています。

最後には、マンゴーやパパイアなど果物の紹介。
日本では、すでに身近な生のパッションフルーツが
ドイツの店先にも最近、並ぶようになりました。
近年のアジアブームの影響です。
コーヒーの木は、まだ会場にはありませんでしたが、
ドイツは、この地に静かに
熱い視線を向けているようです。


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2007年10月22日(月)

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