伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第153回
清き1票のために…

日本の国の外に3ヶ月以上住んでいる
20歳以上の有権者には、
日本国内で実施される国政選挙に
海外から投票することができますよ、
という在外選挙制度があります。

あらかじめ、領事館など日本政府の出先機関で、
在外選挙人名簿に登録を済ませていれば、
清き1票を投じられるというものです。
例えば、この夏に実施された、
参議院議員通常選挙では、
ドイツからも投票することができますよ、
という呼びかけがありました。

日本に住んでいたときには、
私も周りの多くの人と同じく
有権者としての1票を捧げてきました。
そして、今も、日本の政治の先行きに全く関心がない、
というのではないのです。

しかし、外国人であるために選挙権を持たないのに、
居住国の政治動向に振り回されている日々、
というのが外国暮らしの現実です。
加えて、遠くの国から見ているためか、
日本での立候補者のことやその主張方針の相違点が
ますます分かりにくくなるのです。
本当は、国の外から客観的に見られるからこそ、
判断できるという要素が大きくアピールされていれば、
外国からのこの1票が生きるように思うのですが。

一方、毎日、ドイツで見聞している
テレビニュースや新聞雑誌の政治の話題には、
つい関心を持ってしまう面白さがあることが
少しずつ分かってきました。
ドイツ首相のメルケルさんが
どの国に行って、何とスピーチしたのか、
で、相手の国は、何と反応したのか、
今度の税金値上げの真の目的は何か、
お隣の国の大統領選では、誰が勝つと
(ドイツにとって一番都合が)良さそうか…など。

平和な時代でこそ初めて可能になることですね。
難しい政治の話は、
皆で、ビールやワインの肴にしてしまう、
そんな庶民の楽しみらしいのです。


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2007年10月26日(金)

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