伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第155回
私は「アジア人」です

ドイツに住むために
「即席の欧州人」になろうとするよりも、
「欧州に住むアジア人」になろう、とするほうが
今の時代には賢明だろう、と考えた時期があります。

ドイツに住む条件を整えるための話し合いを
欧州人と始めるにあたり、
「私は欧州人ではない」、つまり「私はアジア人です」
という立場で話をする方法もありと気付きました。
私は、欧州人とは「違う」なんて、
当たり前じゃない?と
不思議に思われるかもしれませんね。

でも、ひとたび、馴染み深い土地とは、
異なる別の土地に「暮らす」ことを
想像してみてください。
おそらく、多くの日本人が、
身に染み付いた一種の癖として、
できるだけ周りと「同じ」ようにしようと
知らず知らず懸命に努力してしまうと思います。

ドイツに来てから、
欧州人になりきろうとするつもりは
全く無かったとしても、
できる限り、早く馴染むように…と
知らず知らず私は、
「周囲に自分を合わせる」努力をしていました。
そのうち、自分が「周囲に合わせられること」と、
「周囲に合わせられないこと」の2つが
あるのに気がつくようになったのです。

そして、合わせられないことの多さに気がついて、
もういいや!「違い」があるから良いじゃない!
と、エイヤッと腹をくくってしまいました。
その「違い」を明確に表せた言葉が、
「皆は欧州人、そして私はアジア人」でした。

周りをよく見回すと、
ドイツ人だけではなかったのです。
イタリア人、フランス人、オランダ人、
スペイン人…皆まとめると「欧州人」です。
これと同じ意味の「ひとくくり」のグループにすると、
私は「アジア人」です。
なんだか、急に皆と同じ背丈になったようで
ほっとしました。


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2007年10月31日(水)

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