伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第159回
日本人って、ロボットが好き

この秋のIAA(フランクフルト・モーターショウ)の
会場には、日本メーカーのブースに、
人型ロボットが1台ありました。
スポットライトを浴びて、きちんと立っていたのです。
でも、日本で見るときよりも、
気のせいか、ちょっと寂しげに見えました。
その様子を見たとき、友人から聞いた
こんな話を思い出しました。

夏の国際交流のイベントに参加した
小学校高学年の日本少年のたちが、
「あの人型ロボットについて、
僕ら(日本人)と彼ら(欧州人)
とでは、思っていることが大きく違う…」と
驚きながら話していたというのです。
2005年の愛知万博の開幕では、
あのロボットたちが演奏する姿を
欧州のテレビも放映していました。
詳しく話を聞いてみると、こうなのです。

「人間は、人間であるから素晴しい。
音楽は人間が奏でるから、素晴らしい。
なのに日本人は、なぜ、
人間と全く同じ働きをするロボットを造ろうとするのか?
ロボットに音楽を奏でさせて、どんな意味があるのか?
どうしてそんなにロボットが好きなのか?」と
彼ら(欧州人の少年たち)が言った。

2足歩行できるロボットを作るのは
とても難しいことを知っている日本人の少年たちは、
「あのロボットは凄いんだぞ!」としか言えず。
伝えたい何かが違うのだけれど、
それを何と言い返したらよいのか
分からなかったらしい、とても悔しそうな様子だった。

自然はあくまで自然なままが素晴しい、
人間は人間であるから素晴らしい、という
「人間賛歌・自然賛歌」が強い欧州感覚は、
日本ではあまり馴染みがありません。
日本では、ロボット・テクノロジーへの関心が
とても高いのですが、
欧州では、必ずしも誰もがそうとは限りません。

日本人と欧州人、
それぞれが持つ感覚・関心の違いを
あのロボットの存在を介して、
双方の子どもたちは
本当にお互いをよく観ているんだな、と思ったのです。


←前回記事へ

2007年11月9日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ