伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第162回
EU(欧州連合)という姿

欧州の国同士には、
互いに「近い」という感覚が常にあります。
日本の国内で考えるならば、
都道府県並みの距離関係で、
異なる言語を使う隣国が
幾つもあるのですもの。

あまりに近すぎて、長い歴史の中で始終、
「何時、どの隣国で一体、何が起きるやら…」と
近場の四方八方を見渡し、
恐々とし続けなければなりませんでした。
近場の国との調整はいつも必要だけれども、
それにばかり気をとられていると、
遠くの国を見る余裕が無くなってしまいます。

そこで、その欧州の国々が集って、
EU(欧州連合)という姿になりました。
14年前、1993年の11月のことです。
第2次世界大戦の混乱から立ち上がり、
EC(欧州共同体)など前身がありました。

これまでの欧州にあった
経済や軍事を協力しあう団体との
EUとの大きな違いは何でしょう?

それまでの団体は、どちらかというと、
欧州内外の利害調整のためにありました。
しかし、EUは、
世界中の非EU国に対して、
「モノ言う」ために作られた、
「ヨーロッパの姿」です。

現在27カ国から成るこのEU、
総人口にして、4億5千万人です。
EUがモノ申すとは、
「4億5千万人に関わることなんだぞ」と
いうことになります。
この数字は、中国13億人、
インド11億人に次ぐ、
世界第3位の規模になります。

私は、ここ、EU国ドイツに住んでいて、
人種や宗教などの違いによる「差別」は
あまり強く感じないのです。
しかし、EU国と非EU国の
どちらの国籍を持って
EU国に住もうとしているか、
という「区別」は、
ことある都度に強く感じています。


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2007年11月16日(金)

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