伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第165回
上手に自己主張

荷物をまとめて日本から出てきたものの
何とか早くドイツで生活できるようにしなければ、
と焦りました。
生活費が十分ではないだけでも、
ずいぶん頭が痛いのに、
解決のヒントがなかなか掴めなかったのす。

周りを見回して、
自力でドイツに住む外国人が働く様子を
必死で観察しているうちに、
「要するに、我慢せずに、雇用主に
自分の要望をそのまま述べればよいのだ」
ということに、ようやく気が付きました。
ドイツ暮らしが、1年半以上経ったころです。

私が「要望したいこと」は、
突き詰めてみれば、単純でした。
「これでは生活できません。
ここをこういう具合に改善して、
ドイツで生活できるようにしてください。」
ということだけです。

ただし、「これでは生活できませんので、
何卒、善処のほど宜しくお願い申し上げます」と
対処方針・正体不明の日本式「曖昧お願い」では、
全く解決に至りそうにありません。
そういう「曖昧お願い」をしている人が居ないのです。
できる限りフェアで具体的な改善方針を
自ら見つけだして、相手に説明することさえできれば
良いのだろう、と考えました。

世渡りが上手な人から見れば、
「おいおい、そのくらい、当たり前じゃないか…」と
きっと、声を上げてお笑いになることでしょう。
しかし、反省を込めて、その当時を振り返るなら、
「上手に自己主張しようとする発想が
私にはそもそも無かった」のです。
これこそ、外国に出て日本以外の会社や組織に
世話になるときには、
真っ先に裏目になって出てきた日本人の性分でした。

「自己主張」という文字を日本に居て見ると、
なんだか悪いことをするような
後ろめたいイメージが付きまとうかもしれません。
けれども、「上手に自己主張」するのは、
日本を出ると必要な世界常識の1つです。

周りの人と同じく、個人の要望を
「上手に自己主張」しなければならなかったのに、
そうしようとする「発想」が皆無だったこと。
そして、「宜しくお願い」方式の相手任せではない、
フェアな解決方法を自ら具体的に提案するのが、
「上手な自己主張」に繋がること。
この2つに気付いたのは、2005年の晩秋でした。


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2007年11月23日(金)

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