伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第166回
ドイツ暮らし必須の知恵

ドイツ暮らし初期の辛さの原因は、
日本人独特の「自己主張が下手」な性分の他に
「助け求め下手・助けられ下手」な性分にも
あったように思います。

いきなりアジア人がドイツに住もうとやって来ても、
長住まいを前提とした暮らしの法律や
食費や光熱費以外に
たっぷり必要な生活運転資金の総額なぞ
そう簡単に分かるハズがなかったのです。

雇用話の一番最初の段階で、
ドイツの弁護士に「助けを求めればよかった」のでした。
「この条件でドイツの暮らしが可能でしょうか?」と
内容確認してもらう相談を
素直にしておけばよかったのです。

「周りの人にも良く気が利き、他人の分もよく働く」
という日本人の長所があります。
「決まった時間に自分の担当分野について、
よく働く(担当分野以外のところは分からなくてもよい)」
のが良しとされるドイツ視点では、
「日本では、1人の人間が何でもできる、
スーパーマンになるよう求められている」ように見えます。

そして、この長所の裏側には、
日本人独特の「がんばり癖」があるようです。
がんばり、努力するのは素晴しいことですが、
どうかすると、がんばり過ぎて
ピンチのときにSOSを上手に発し損なったり、
人目を気にして、
周りの人に助けられ損なったりしやすい、
脆い側面もあるように見えます。

何でもできる「デキル人」であれば、
それに越したことはないけれど、
正直なところ、人間、誰もがそうはなれません。
そこで、「自分で可能なことを精一杯やれば良い」、
それでも補えないところは
「早めにその専門家に任せればよい」、
というドイツ的発想があります。

最初はずいぶん抵抗があったのですが、
この発想に慣れると、急に気分がラクになりました。
日常生活の中で生じる小さな疑問や不安は、
それが複雑な問題にこじれないうちに、
弁護士などその分野の専門家にさっさと相談。

専門家に、上手に相談して、上手に解決。
コホン!と軽い咳が出始めたところで、
すぐに医者へと飛んでいくのと同じです。
これが、「人間らしく(明るく楽しく)暮らす」
ためのドイツ暮らし必須の知恵のようです。


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2007年11月26日(月)

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