伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第177回
ノってる韓国!

私が耳にしたところによると、
フランクフルト近郊に住む日本人は約6000人、
韓国人は、約7000人なのだそうです。
フランクフルトへの外国人の出入りは激しく
その数を正確に把握するのは難しいのです。
少なくとも、韓国人の方が日本人の数よりずっと多く、
しかも、どんどん増えているのではないでしょうか。

4年前、私は家賃を節約したさに、
フランクフルト中心部からずいぶん離れた郊外に
今の住まいを探しました。
その頃、周囲にアジア人の姿は見えませんでした。
それが今や、近所のバス停や駅には、
アジア人の姿が必ず見られるようになりました。

しかも、大学を卒業したばかりに見える、
若い韓国人の男女の姿が多いのです。
駅やバス停で乗り物を待っていると、
切符の買い方や乗り換えの仕方が分からず困っていて、
必死な様子でたずねられます。
まだ、ドイツに来たばかりで、
これからここに暮らし始めるのだな、
という雰囲気が強くあります。
やれ同郷の人だと、ほっと安堵の表情を浮かべ
韓国語で勢い込んで問われるのです。

少々の英語でなら…と断ってから
問われることに答えつつ、話に耳を傾けていると、
皆は、韓国の企業に就職してまだ間もないようです。
約3ヶ月ほどの短期滞在で、
ドイツ住まいをしながら職務経験を積むのだそうです。
そのメンバーが入れ替わりながら、年々数が増え
規模が大きくなっているな、と思うのです。

こんなに若い世代のうちに外国暮らしを体験して
見聞を広げるチャンスが得られるなんて素晴らしい。
若い時代の経験が
「将来、世界規模の大きな仕事に取り組みたい」という
強い意志に繋がるのでしょう。
彼らが持つ、その生き生きとした表情は、
今の中国で大勢の人が持つ瞳の輝きと似ています。
将来に向ける強い意思と未来を信じる希望があります。

日本の多くの企業は、あのバブルの時代でさえ、
若い社員の教育に
ここまで太っ腹ではなかったのかもしれません。
そういえば、この夏には公共バスの一部車体に
「素晴らしい韓国!」と韓国の風景を描いていて、
フランクフルト中を宣伝しながら走っていました。
ドイツで見る今の韓国、本当にノッてるなと思うのです。


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2007年12月21日(金)

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