伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第180回
暮れの大掃除がありません

クリスマスが終り、もう年の瀬。
この時期の日本とドイツでは風情がずいぶん違います。
師走といえど、ここでは、皆、忙しそうにしていません。
少なくともドイツでは、普段と違って年の暮れに
「大掃除」に励む姿が全く見られないのです。
クリスマス休暇中という理由だけではなく、
寒すぎて「一斉に大掃除」をするには向いていないのです。

しかし、お掃除大好きな国民性は世界に知られる通りです。
もしも、これがクリスマス休暇中でなければ、
男性も女性も、箒やモップや雑巾を持って
せっせと自宅の前の道を掃く人、床を清める人、
窓をピカピカに磨き上げる人を見ない日が無いのです。

掃除道具、掃除用洗剤の使いやすさ、高機能性そして、
その種類の充実度は本当に素晴らしいものです。
そして、車も家具も家周りの窓も扉も、
「ピカピカ」の輝きを良しとして、
磨き上げたあとのあのご満悦そうな顔!

この「磨き上げ」に対する執念だけは、
どう工夫してもドイツ人には及ばないと
私は、ずいぶん前に観念して諦めてしまいました。
どんなに掃除道具や洗剤を良くしても、
ドイツ流ピカピカ掃除の悟りの域には程遠いのです。
周囲のドイツ人家庭に比べると、
私のアパートの窓だけは何故か輝いて見えません。

このピカピカ掃除が年中で極みを見せるのは、
日差しが明るく輝き始める春先と、
冴えた空気の中で紅葉が始まる秋の2回です。
この2シーズンが「大掃除」の季節。
急に周り中ピカピカになるので、
せめて掃除するマネだけでもしないと…と焦るのは、
私だけでありません。

特に秋口にはご近所さんをよく観察しておいて、
「さあ、今日は天気が良いぞ!
皆が箒や雑巾を手にし始めた!」というころに
外回りの掃除と草木の手入れだけは
それっと一斉に済ませないと
あっという間に冬将軍がやってきて、
その年の大掃除をし損なってしまいます。


←前回記事へ

2007年12月28日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ