伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第182回
2008年は「夢多銭少」で

新年のお慶びを申し上げます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

私は、このHPの種字林、金言名句のページを眺めるのを
時折の楽しみにしています。
インターネットで書を鑑賞するというと、
違和感があるかもしれません。
けれど、アルファベットばかりに囲まれたドイツにいると
これがまた和むのです。

観るときのコンディションによるのか、
目に留まる、じ〜んと来る、気になる言葉が
少しずつ変わってくるので興味深いです。
ドイツに来て人心地つくまでは「国境破故郷在」、
もしかしたら何とかドイツに住めるか?という頃には、
「楽観」が好きでした。

そして今年は、「夢多銭少」です。
最初、これを一目見たときには、
「夢が多くてお金は少ない方が良い」と読めばよいのかな?
まるで仙人になって霞を食らう覚悟が要りそうで、
この私には到底無理だ…と思いました。
しかし、邱先生の解説では、
「夢がふくらむと、お金が間に合わない」とありました。
おや、それなら私は、万年「夢多銭少」だね、と
この言葉に急に親しみを感じて安堵しました。
年頭に金言名句をぐるりと見直してみて、
今年は、やっぱり、これかな…と思っているところです。

インターネットを使えば情報は得られるし、
日本語の雑誌や書籍も、お金を払えば
ドイツに居ながらにして購入できる時代です。
連絡ごとは手紙よりメールで瞬時にやってきます。
コンピュータ上の文字や画像、
印刷された活字を見ることは簡単です。
その反面で、とりわけ人の手によって記された
アジアの文字を目にする機会が
本当に少なくなってしまいました。

金言名句の書も、コンピュータ上では画像に違いないのに、
私には、なんだか微妙に他の画像とは違うのです。
写真としての画像でもなければ、
コンピュータ上の文字でも印刷活字でもない存在感。
豊岡先生のコラムを読むと、
空海の書から空海のことが詳しく分かるそうなので、
金言名句の書の中からも、
筆をとった人の様子が滲み出ていて、
私はそれに親しみを覚えているのかもしれません。


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2008年1月1日(火)

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