伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第186回
洗濯は「90度」洗いで!

ドイツで木綿の真っ白な美しさを保つというのは、
これまた、とても大変な作業です。
木綿の衣類のサラリとした清潔感や、
木綿のタオルが持つフワフワした優しい肌触りを
保つのもこれまた大変難しい…。

なぜなら、毎日、強い硬水を使って
洗濯しなければならないからです。
硬水で洗濯すると衣類がどうなってしまうか、
軟水国の日本では想像するのが難しいでしょう?
フワフワの白いタオルも、洗いようによっては、
あっという間に煮〆たように黒ずみ、
そして、まるでパイナップルの葉のように硬くなります。

繊維の間に、カルシウムがどんどん溜まり、
それに汚れが少しずつ絡み付いてくるのか、
白物は、嫌が応でも灰色に。
しかも、河川汚染に配慮しているのか、
ここでは、日本でよく見る、
真っ白に見せるための
蛍光剤入り合成洗剤がありません。

特別大事な白物の木綿製品には、
酢水でそっとシミ抜きしたあと、
重曹と石鹸を使って、熱水で洗濯。
そして、洗ったあとにはノリを張って、
ピシッとアイロンを掛け、繊維の間に汚れが
溜まらないようにしておくのが、
昔ながらのドイツ流洗濯。

そういう理由で、今もドイツの洗濯機には、
なんと「90度洗い」チャンネルがあります。
黒ずみはじめたな、と思えば
粉石鹸と重曹とを洗濯物と一緒に放り込んで、
この「90度洗い」チャンネルを使います。
これで、さすがに見事に真っ白!

ところが元来のアジア衣料には、
こんな熱水洗濯が全く考慮されていません。
繊維はヨタヨタになるわ、
樹脂インクを使ったプリントは熱で溶けて無くなるわ、
小さな刺繍に使われた糸の質が悪ければ、
染料が溶け出して洗濯物を汚してしまうわ…。

幸い最近では、「30度洗いで真っ白!」という
優れモノの粉石鹸が出ていて売れています。
加熱する分の電気代を使わなくてよいので、
「財布に優しい!自然にも優しい!」
30から90度まである水温チャンネルのうち、
ここでは、30度が一般的な洗濯水温。
アジアでは湯洗いの感覚ですね。
必然的に湯洗いに耐える衣料だけが生き残ります。


←前回記事へ

2008年1月11日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ