伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第189回
SUOMOなら知っていますよ!

「相撲」ときくと、日本独特のスポーツで、
欧州人には、そんなに関心が強くないのでは
と思われる人が多いと思います。
意外や意外、欧州では一般に知られたスポーツ。
もちろん、皆は、テレビでの相撲観戦。
実際に間近で知る機会がほとんど無い異文化です。
欧州全域をカバーする衛星放送の中に
ユーロ・スポーツというスポーツ番組だけを
特集する無料チャンネルがあります。
ここで、毎場所の中継が少し見られます。

相撲は、力士の国籍・出身地に関わらず、
「強い者が勝つ」というコンセプトの上に、
勝負が皆の眼前で、一瞬にしてシンプルに決まる、
非常にフェアなゲームだという印象が強くある様子。
欧州人の正義感にストレートに響く、
彼らが美しいと感動したくなる「潔さ」があり、
きっと、分かりやすくて
カッコいいスポーツだろうと思います。
八卦良い!とキレよく勝負が開始され、
瞬間的にどの技が出てくるか、
とハッと観客が緊張する楽しみがあります。
毎場所、必ず観戦すると言う欧州人もいます。

勝負が決まって、行司が何やら差し出すものを
勝った力士が受け取るとき、
手の平でパパッとやるアレは何かと質問されたので、
「心って、書いているそうですよ」と
20年ほど前初めて両国の国技館を見学に
行ったときに聞いた、相撲に詳しい友人の解説を
受け売りさせてもらいました。

しかしながら、ドイツ語読みなら“ズオモォ“に聞こえ、
日本の相撲のイメージとまるで違ってしまいそうです。
「すもう(SUMO)」では通じず、
その音は、SUOMOと聞こえて、こう記すのだそう。
「横綱」を、ズオモォ・マイスターと呼びます。
ドイツでは、どの分野でもマイスターになるには、
大変な努力と苦労が必要です。
簡単にはズオモォ・マイスターにはなれない、
だからカッコいい、
そういうシンプルな憧れがある様子。
たとえ勝負は一瞬でも、
即席に出来上がらないものには
尊敬の眼差しがストレートに捧げられています。


←前回記事へ

2008年1月18日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ