伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第191回
世界で一つだけの花

先の大晦日に、日本時間での2008年への
年越し時刻に合わせて、
TVのチャンネルを日本番組にかえました。
ちょうど紅白歌合戦のフィナーレ、出場者全員で
「世界で一つだけの花」を歌い始めるところでした。
この歌は、渡独間際の5年ほど前、
誰もが歌っていた良い歌でした。

しかし、久しぶりに改めて聞いてみると、
以前に私が感じていた印象となんだか違うのです。
あら、こんな歌だったかしら、と驚いて
思わず字幕歌詞の1字1句に目をやりました。
そして、もしも、このまま歌詞を直訳したら、
欧州人には、この歌を歌っている人の気持ちも、
歌詞の意味も通じないかもしれない、と気付きました。

この歌の中では、
「皆、それぞれに個性があるじゃないか、
それは素敵なことじゃないか」と。
これは欧州人と全く同感、OKです。
けれど、「どうして何でも比べたがる」
というあたりから、なんだかちょっと違ってきます。
「世界のナンバーワンとは違っても、
自分にとってのオンリーワン」という結論に至ると、
欧州人には理解しがたい内容だろうなと思いました。

「1人ずつ個性があるのに、何でも比べたがるなんて」
というのは、島国ニッポン独特の見方かもしれません。
欧州では「個性を持つことの有意義さ」を認めたなら、
お互いに「自分の個性を主張しあう」ことも始まるのが
当然でしょ、という見方になります。
主張しあうなんてイヤだなぁ…と下を向くどころか、
「よっしゃ、主張しようじゃないのッ!」と
逆にファイトを燃やします。

そして、個性の主張に必要ならば、
互いに比べたり、競争したりもします。
互いの小さな個性を尊重するからこそ、
正当に主張しあえるフェアな競争土俵の数は、
少ないより、多いほうがずっと都合が良いという理論。

「最善の知恵と努力によって選んだ1番良い選択、
つまり自分のオンリーワンこそ、世界ナンバーワン!
もしも、そうではないなら、
キミの世界ナンバーワンって一体なんなの?」
欧州人なら、自信たっぷりに
そう問うてくるだろうな、と思いました。


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2008年1月23日(水)

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